在日韓国人の方が「公正証書遺言」を残す意義

亡くなった時点の国籍が韓国籍の場合、日本在住の方でも韓国の法律に基づいて相続手続きをしなければなりません。

ただし、亡くなる前に「相続は日本法に準拠する」旨の遺言書を残されている場合は、日本の法律(民法)で相続手続きができます。

韓国の民法は、日本の民法より相続人の範囲が広くなることがあり、遺産分割協議をまとめるのが困難なことがあります。

そこで、生前に遺言書、中でも証明性、有効性が高く、かつ法的な執行力をも備えている「公正証書遺言書」を用意しておけば、日本の民法で相続手続きできます。

※必要書類

①依頼者(遺言者)の印鑑登録証明書(市区町村役場で取得)

②固定資産税納税通知書(市区町村役場で取得)(不動産がある場合)

③金融資産を証明するもの(通帳等)

④戸籍謄本(遺言者と相続人との関係)

④ですが、通常は市区町村役場で取得するところ、在日韓国人の方は戸籍がないので、戸籍謄本等による相続関係の証明はできず、それに代わる書類を提出して相続関係を証明する必要があります。

㋐韓国での除籍謄本

2008年の戸籍制度改革前の戸籍謄本です。

㋑家族関係証明書

本人の基本情報(登録基準地、姓名、性別、本籍地、出生年月日、住民登録番号)とその家族(父母、養父母、配偶者、子供)の基本情報が記載されたものです。

㋒基本証明書

本人の基本情報に加えて、出生、親権、死亡、国籍の喪失や取得などの身分事項が記載されたものです。

㋓婚姻関係証明書

本人と配偶者の基本情報、婚姻や離婚に関する事項が記載されたものです。

㋐~㋓は、韓国大使館・領事館で取得します。必要書類:特別永住者証明書のコピーです。韓国の本籍地の住所が分からない場合、出入国在留管理庁に「外国人登録原票」を開示請求することにより、韓国の本籍地の住所を確認できます。

なお、㋐~㋓を公証役場に提出する際には、日本語の翻訳文も提出しなければなりません。

また、死後の相続手続きをスムースに進めるためには、遺言書の中で遺言執行者を指定しておいた方がよいです。

※参考:「日本公証人連合会HP

※参考:「出入国在留管理庁HP「外国人登録原票に係る開示請求

(1)作成当日まで必要な事
①文案の作成。証人を2名以上選定

②公証役場に予約。打ち合わせ

③公証役場から文案が提示される
依頼者(遺言者)に確認

(2)作成当日
①公証人からの氏名、住所の確認

②公証人が遺言書を読んで聞かせる

③確認後、遺言者、証人が遺言書の署名して印(実印)

④公証人が署名、印。
公証役場から正本、謄本交付。
原本は公証役場に保管。

※参考:「日本公証人連合会HP

生前帰化していた場合、日本民法を適用して相続手続きを進めることになりますが、遺言書を残さないと、相続手続きの際、被相続人の出生から帰化(国籍喪失)までの韓国の戸籍とその翻訳文が必要となります。

その点、公正証書遺言を作成し、かつ、遺言書の中で遺言執行者を指定しておけば、公正証書遺言書の作成時も、死亡後の相続手続きも「銀行の手続き」などなら、戸籍を出生から取り寄せる必要はなく、「最後の戸籍(除籍)謄本のみ」で足ります。

もっとも、たとえ公正証書遺言+遺言執行者の指定でも、不動産の名義変更(相続登記)については、原則通り、帰化後の戸籍だけでなく、出生から帰化するまでの戸籍も必要になります。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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