市街化調整区域に分家住宅を建てるには
1、「分家住宅」とは?
父親は戦後からこの地域で農業を営んでいます。
農地は、市街化調整区域に指定される前から、先祖代々所有していた土地です。
子供が結婚。当初はアパートに住んでいましたが、子どもが生まれ、住宅が必要になりました。
これを「分家」といいます。
住宅建築が可能な土地を探しましたが、適当な土地が見つかりません。
そこで、父親からその所有する市街化調整区域の農地を譲ってもらい、新たに住宅を建てることにしました。
この新しく建てることになる住宅を「分家住宅」といいます。
都市計画法によって市街化調整区域に指定される前から、その地域で農地を所有し、生活してきた世帯の親族が住宅を建てる場合、開発行為が許可され、住宅を建てることができる場合があります。
そのためには、都市計画法第34条第1項第12号を根拠とする「分家住宅」の要件を満たすことが必要です。
2、分家住宅を建てるための要件(申請者側)
①現に土地を譲渡する者の世帯(本家)の子供、孫であること
②原則として相続または生前贈与により土地の所有権を取得すること
③現に住宅を所有しておらず、結婚等の理由により、新規に住宅を確保して独立した世帯を構成する必要があること
3、分家住宅を建てるための要件(土地を譲渡する側)
①市街化調整区域決定の日の前から、引き続きその地域に生活の根拠をもっていること
②市街化区域内に、譲渡できる住宅建築可能な土地を持っていないこと
4、分家住宅を建てるための要件(土地)
①原則として、周囲が宅地化された地域内にある土地であること
②原則として、敷地面積が500㎡以内であること
③道路に接続していること
5、分家住宅を建てるための要件(建物)
①分家する方自身が居住する専用住宅であること
②住宅の規模が280㎡以内であること
③車庫については、45㎡以内を基準とし、住宅とのバランスを取ること
6、分家住宅に該当することを証明する書類
①戸籍謄本
申請者(分家する方)と土地を提供する方(本家)との親族関係を証明
②住民票
本家(贈与者)が市街化調整区域に指定される以前から、その地域に住んでいたことを証明
③土地贈与承諾書
本家から土地を贈与してもらい、新たに独立した世帯を持つこと(分家すること)を証明
④借家の賃貸借契約書
申請者(分家する方)が住宅及び住宅建築な土地を所有していないことを証明
⑤名寄帳
本家(贈与者)が市街化区域内に贈与できる土地を所有していないことを証明
⑥土地登記簿謄本、公図
⑦平面図
⑧求積図、境界画定図
⑨建物平面図、立面図、配置図
⑩選定理由書、位置図
⑪専用住宅以外にしない旨の申立書
7、分家住宅を建てる手続き
(1)開発許可申請+農地転用申請
開発行為とは、建物の建築を目的とした土地の区画形質の変更のことです。
農地を宅地に変更することは開発行為に該当します。
都市計画法に基づく開発許可(29条許可申請)+農地法に基づく農地転用(農地法5条申請)の手続きが必要になります。
(2)建築許可申請(都市計画法43条申請)
市街化調整区域の土地に、開発行為なしで分家住宅を建てる場合、開発許可の手続きではなく、建築許可の手続きをとることになります。
◎開発行為の必要がない土地
①現況(見た目)も登記簿上の地目も農地ではなく、宅地となっている
②土地の面積が、住宅が1軒建つくらいの広さ。区画の変更を必要としない
③土地が平坦であり、高さも道路と同じ高さで、造成工事を必要としない
都市計画法43条許可に基づいて分家住宅を建てる場合、農地転用の手続きは不要になります。
投稿者プロフィール
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