生前信託(リビングトラスト)

リビングトラスト」は、生前の間は、本人がトラストの設立者及び受託者となり、引き続き資産の所有者として運用、管理、処分を行うことができます。

そして、ご本人が亡くなった時に、予め定めた後任受託者(弁護士など)が、プロベートを経ることなく、受益者に遺産を承継させることができます。

日本でいう「遺言代用信託」のようなものです。

ご本人が信託設定者であると同時に受託者でもあることに特徴があります。

そして、本人が死亡したときは、承継受託者が、不動産の売却、金融機関への照会、納税等を行い、信託契約書で指定された受益者への遺産の分配を行うこととなります。

リビングトラストの最大のメリットは、プロベートを経ずに遺産分割手続ができる、です。

プロベートの手続きが開始になると、裁判により遺産、相続人、負債等の確定が行われるため、最終的に相続人に遺産が分配されるまで、時間と費用がかかってしまいます。

この点、リビングトラストなら、裁判手続きを経ずに、承継受託者が遺産分割手続を行うことができます。

また、プロベートになると誰でも裁判資料を見ることができるので、被相続人の遺産の内容、遺言など公開されてしまいますが、リビングトラストなら、親族などへの開示にとどまりますので、プライバシーを守ることができます。

遺言書だけあっても、トラストがなければプロベートによる遺産分割手続になってしまいます。

逆に、トラストだけ作って、遺言書がないと不都合が生じる場合があります。

例えば、リビングトラストで指定した受益者がまだ未成年の場合、遺言で、後見人を指定しておくのも一つの方法です。

また、遺言で「トラスト名義に変更されていない遺産も全てトラストに含める」旨の条項を入れておくことによって、名義変更をしていない遺産も、プロベートを避け、リビングトラストの遺産として分割することができます。

なので、リビングトラストを検討する際には、同時に遺言書の作成も検討した方がよいです。

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