[事例]相続人が海外に居住している場合
1、事例
◎事例:
㋐父親死亡
㋑相続人は母親、長男、長女
㋒長男が米国に在住している
2、相続手続き
(1)相続人の確定:戸籍の調査
↓
(2)財産調査:不動産、預貯金などの調査
↓
(3)財産目録作成:
↓
(4)遺言書がない場合、相続人全員による遺産分割協議
↓
(5)遺産分割協議に署名、押印(おういん)
↓
(6)相続手続き:預貯金の解約、不動産の名義変更など
相続人の一人が海外に住んでいる場合、問題となるのは(4)の段階からです。
相続人全員による遺産分割協議ですが、長男が米国から帰国するのが困難なら、ZOOMなどのオンライン。電話やメールでやり取りして進めることになります。
3、印鑑証明書の代わりに「サイン証明」
銀行などの金融機関での手続き、不動産登記移転の際には、実印で押印をします。その際に、添付する必要のある書類が「印鑑証明書」です。
長男が日本に住民票があれば印鑑証明書を取得できますが、なければ実印の印鑑登録ができず、印鑑証明書を取得できません。
その際は、現地の在外公館(大使館・領事館)で「サイン証明(署名証明)」を受けることにより、自分のサインを印鑑の代わりに使用できるよう手続きをします。
サイン証明(署名証明)を受けるには、まず、遺産分割協議書を現地の在外公館に持参します。
係官の前で遺産分割協議書にサイン後、在外公館の発行する「サイン証明書」が綴じ込まれ、サインが本人のものであることが証明されます。
4、住民票の代わりに「在留証明」
現地の在外公館(大使館・領事館)で発行されます。
◎発行の要件
①日本国籍がある
②現地に3か月以上滞在、かつ現在も居住している
◎必要書類
パスポート、賃貸契約書、公共料金の請求書など滞在期間と居住地がわかるもの
※参考:「外務省HP「在留証明」
5、遺産分割協議書、在留証明書を送ってもらう
長男が
①「サイン証明書」が綴じ込まれた遺産分割協議書
②在留資格証明書
を米国から送れば(5)遺産分割協議に署名、押印(おういん)は完了です。
その後(6)相続手続き:預貯金の解約、不動産の名義変更など、に着手。終了すれば相続手続きは完了です。
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投稿者プロフィール

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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
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