特別永住者の帰化申請
1、特別永住者
「特別永住者」とは、通常の入管法ではなく「入管特例法」によって規定されている特別な身分系在留資格です。
1952年のサンフランシスコ平和条約により日本が朝鮮半島や台湾などの領土を失った結果、日本に定住していた韓国人・朝鮮人・台湾人が日本国籍を離脱することになりました。
それを受けて、1991年の入国管理特例法で「特別永住者」が制度化されました。
そのため、この在留資格は韓国人・朝鮮人・台湾人など、限られた外国人のみ申請できます。
2、特別永住者を含めた韓国人の帰化申請に必要な書類:韓国で発行してもらうもの
(1)基本証明書
(2)家族関係証明書
(3)婚姻関係証明書
(4)入養関係証明書
(5)親養子入養関係証明書
(6)除籍謄本
これらの書類は韓国本国に行かなくても、日本にある韓国大使館・領事館で取得することができます。
韓国では戸籍制度は2007年末に廃止。2008年からは各個人別に編成する「家族関係登録制度」に移行しました。
そのため、申請人もしくは両親の身分関係の記録が「旧来の韓国戸籍」と「現在の家族関係登録制度」にまたがるケースが多々あります。
(1)基本証明書
本人の基本情報(登録基準地、姓名、性別、本籍地、出生年月日、住民登録番号)に加えて、出生、親権、死亡、国籍の喪失や取得などの身分事項が記載されたものです。
(2)家族関係証明書
本人の基本情報(登録基準地、姓名、性別、本籍地、出生年月日、住民登録番号)とその家族(父母、養父母、配偶者、子供)の基本情報が記載されたものです。
(3)婚姻関係証明書
本人と配偶者の基本情報、婚姻や離婚に関する事項が記載されたものです。
(4)入養関係証明書
養子縁組をしたことがある場合、そのことに関する事が記載されたものです。
「誰とも養子縁組はしていない」方も、その旨を証明するために、養子縁組の有無に関わらず一律に取得が必要です。
(5)親養子入養関係証明書
日本でいう「特別養子縁組」にあたる制度の縁組記録が記載されたものです。
(4)と同じく、縁組の有無に関係なく取得が必要です。
(6)韓国での除籍謄本
2008年の戸籍制度改革前の戸籍謄本です。
多くの方は2008年以前の生まれでしょうから、出生時からのすべての除籍謄本が必要です。
3、一般的な(特別永住者以外の)韓国人の帰化申請に必要な書類:日本で発行してもらうもの
①帰化許可申請書
②帰化動機書
③出生から現在に至るまでの詳細な履歴書など
④住民票や住民税の納税証明書、課税証明書など
⑤最終学歴の卒業証明書
⑥日本での在勤及び給与証明書
4、特別永住者の韓国人の帰化申請:住所要件が緩和される
㋐日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
㋑引き続き10年以上日本に居所を有するもの5
通常の「住居要件」は、引き続き5年以上日本に住んでいて、3年以上の就労経験が必要ですが、特別永住者の韓国人は多くの場合上の㋐㋑に該当するので、要件が緩和されてます。
5、特別永住者の韓国人の帰化申請:省略できる書類
上の「日本で発行してもらう書類」のうち、以下のものは提出を省略できます。
②帰化動機書
すでに日本で生まれ、日本人と同じように生活しているため
④課税証明書など
通常であれば3年分が必要となりますが、特別永住者は2年分で大丈夫です。
⑤最終学歴の卒業証明書
⑥日本での在勤及び給与証明書
直近1か月分の給与明細の提出で大丈夫です。
これを省略できることにより、勤務先に依頼する必要がなくなるので、帰化申請していることが会社にバレないで済みます。
6、特別永住者の韓国人の帰化申請:追加で提出が必要な書類
⑦出生に関する「戸籍の届書記載事項証明書」
⑧死亡に関する「戸籍の届書記載事項証明書」
⑨婚姻に関する「戸籍の届書記載事項証明書」
⑩離婚に関する「戸籍の届書記載事項証明書」
「戸籍の届出記載事項証明書」とは、日本の市区町村役場に提出した出生、死亡、婚姻、離婚などの届出の内容を証明するものです。
外国籍の方が日本の市区町村役場に何らかの身分関係の届出をした場合、原則としてすべての届出について「届出をした」事実を証明する「記載事項証明書」を取得することが必要になります。
※参考:「法務省HP「帰化許可申請」
※参考:「法務省HP「帰化許可申請のてびき」
※参考:「法務局HP「特別永住者の帰化許可申請書に添付する書類」
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投稿者プロフィール

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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
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