「出禁」後、再来店。何罪?
1、「出禁」
「出禁」とは、飲食店やスーパー、コンビニといった小売店等で、問題のある客に対し、今後の入店を禁止するという措置のことをいいます。
例えば、
①万引き等犯罪を犯した場合
②いわゆる「カスタマー・ハラスメント」。つまり、店員等に対し、無理難題を要求したり、しつこく迫る行為をした場合
店舗の判断で出禁にすることが有り得ます。
2、「出禁」を言い渡す根拠
「出禁」を言い渡す根拠として、民法の「契約自由の原則」が挙げられます。
店舗がどのような人と契約を締結するかどうかについては、自由。
店舗が所有する施設の秩序を維持するため、一定の人に対し、出禁とすることは施設管理権の見地から認められます。
3、再来店したら
「出禁」にしたにもかかわらず、それ以降も来店したり、その場に居座って離れないといった場合、建造物侵入罪、不退去罪(刑法第130条:3年以下の懲役又は10万円以下の罰金)になる可能性が出てきます。
また、民事でも他の客の迷惑になったり、店に損害が生じれば、損害賠償請求(民法第709条)が可能となります。
4、注意点
(1)「出禁」はできれば文章で行う
口頭ですと、後で「言った。言わない」の争いになります。
店舗名、会社名を入れた上で「当店(弊社)では、お客様のご希望に添えるサービスを提供することができませんので、「出禁」の措置を取らせていただきます」旨の文章を添えます。
相手の名前、住所が分かっている場合は「内容証明郵便」を利用する方法もあります。
※参考:「日本郵便HP「内容証明 ご利用の条件」
(2)トラブルになった時に備え、録画録音する。警察を呼ぶ等の処置をとる建造物侵入罪、不退去罪にとどまらず、大声で怒鳴り散らしたり、無理矢理の入店は業務妨害罪(刑法第234条:3年以下の懲役または50万円以下の罰金)に該当します。
また、金銭や土下座の要求などは脅迫罪(刑法第222条1項:2年以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑)や恐喝罪(刑法第249条:10年以下の懲役)に該当します。
速やかに警察に通報した上で、犯罪となる証拠物を一緒に提出するとスムーズです。
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