「選挙に行かないと罰金」旨の制度を設けたら…

本日投票の「東京都都知事選挙」の投票率が左程伸びないのに対し「選挙に行かないと罰金にしたら」旨のご意見がちらほら見えました。

参考までに「投票を義務化している国」を調べてみました。

㋐オーストラリア: 20〜50豪ドル(日本円で約2000円〜5000円)の罰金

㋑シンガポール: 氏名を選挙人名簿から抹消

他にもありますが、一応この2か国。

まず、仮に日本でシンガポールのように「投票に行かなかったら、氏名を選挙人名簿から抹消」する旨の制度を設けたとします。

でも、普段から投票に行かない方は抹消されても何とも思わないでしょうから、多分ほとんど効果ないでしょう。

それとも、シンガポールでは効果あるんですかね?。

投票率が低くて組織票の強さで結果が決まった方が何かと都合がよいので、絶対っていってよいほど有り得ないと思いますが、仮に「「選挙に行かないと罰金」旨の制度を設けたとしたら、どんな問題があるか?。

憲法では「国民の三大義務」として

㋐納税の義務

㋑勤労の義務

㋒教育の義務

を定めてます。

投票を「義務」としたら、三大義務の他に「義務」を設けることになるので、憲法改正が必要なのでは。

もっとも、裁判員法で「裁判員の呼び出しに応じずに無断欠席すると、10万円以下の過料が科せられる」ことが定められてます。

全員じゃないとはいえ、裁判員に選ばれた方に「義務」を課している。

これって憲法違反じゃないの?。

これについては最高裁の判決があります。

平成23年11月,裁判員法が憲法違反であるとの上告申立に対し,

㋐裁判員制度の仕組みは,公平な裁判所における法と証拠に基づく裁判が行われることを制度的に保障しており

㋑裁判官を刑事裁判の基本的な担い手としているもので,憲法が定める刑事裁判の諸原則を確保する上で支障はないこと

等を理由として,裁判員制度は合憲である。

憲法は,刑事裁判における国民の司法参加を許容しており,憲法の定める適正な刑事裁判を実現するための諸原則が確保されている限り,その内容を立法政策に委ねている、として、憲法改正をしなくても「裁判員制度」を設けてもよいですよ、としている。

憲法44条で「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める」としています。

「法律」とは「公職選挙法」です。

裁判員制度と同じ理論で、公職選挙法で「投票しないと罰金」旨規定することは可能でしょう。しかし、上でも書いた通り、投票率が低くて組織票の強さで結果が決まった方が何かと都合がよいので、規定される可能性は限りなく低いでしょうね。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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