葬儀費用は誰が負担する?
1、葬儀費用に含まれるもの、含まれないもの
◎葬儀費用に含まれるもの
①葬儀その者の費用:
葬儀会社に支払う葬儀一式費用など
②飲食、接待の費用:
葬儀、通夜の出席者へのお礼の品代など
③寺院などへの費用:
お布施、戒名代など
◎葬儀費用に含まれないもの
①墓地の購入代
②仏壇の購入代
など
2、葬儀費用は「相続債務」ではない
葬式は、死者をとむらうために行われるのであるが、これを実施、挙行するのは、あくまでも、死者ではなく、遺族等の、死者に所縁ある者である。
したがつて、死者が生前に自己の葬式に関する債務を負担していた等、特別な場合は除き、葬式費用をもつて、相続債務とみることは相当ではない。
(東京地裁昭和61年1月28日判決)
相続の対象となる財産、債務も含め、被相続人が「生前」有していた財産に限られます。
葬儀費用は、被相続人が亡くなった「後」に発生する性質のものなので、相続財産には含まれません。
したがって、各相続人が相続して分担して支払うものではなく、葬儀会社に対し、葬儀を依頼。契約者として代金の支払債務を負担した者が、葬儀費用を負担します。
これと同じ考え方で、火葬の費用や納骨代などは、お墓、遺骨を管理する「祭祀承継者」が負担することが原則です。
3、葬儀費用を相続財産から出すには
①遺言書にて、葬儀費用にかかる分を喪主を務める方に多めに相続させる
②喪主を務める人に葬儀費用にかかる分を生前贈与しておく
③喪主を務める人を受取人とした生命保険契約を締結しておく
4、遺言書に葬儀費用の支出について記載しても効力はない
遺言書に書いた場合、法的拘束力がある事項は
①相続分の指定
②相続人の廃除
③相続財産の処分(遺贈)
④子供の認知
⑤後見人の指定
⑥遺言執行者の指定
などです。
葬儀費用の支出は含まれません。
したがって、「葬儀費用を遺産から支出してよい」旨の遺言書を作成しても法的拘束力はありません。
なお、付言事項に「葬儀費用を遺産から支出する」旨記載しても同じく法的拘束力はありませんが、本文に記載したのと同様、故人の遺志を反映させる意味で、相続人全員の合意の下、遺産から支出することが期待され、相続人同士の争いを防ぐ効果が期待できます。
5、葬儀費用の支払いが厳しい場合
喪主が葬儀費用を支払うのが厳しい場合「預貯金の仮払い制度」があります。
引き出し可能な金額は
①預金額の1/3。自分の相続分まで
②1金融機関につき150万円
例えば、亡くなった父の預金額600万円。相続人は子供2人の場合
600万円÷3=200万円
子供1人の法定相続分は1/2なので200万円×1/2=100万円
従って、各相続人の払戻しは100万円が上限です。
手続きですが、一般的に
①亡くなった人の出生から死亡までの連続した一連の戸籍
②相続人全員の戸籍
③預金の払戻しを受ける相続人の印鑑証明書
④実印
が必要となります。
※参考:「全国銀行協会HP」
6、遺産分割協議により、相続財産から支出するのは可能
葬儀費用の負担について、遺産分割協議で相続人全員が同意すれば、遺産から支出することも可能です。
7、まとめ
葬儀費用は喪主が負担するものとされてますが、被相続人の死後、急なことで葬儀自体はもちろん、葬儀費用の捻出に滞る事態も予想されます。
相続人に費用の分担を求めても、必ずしも同意を得ることができるとは限りません。
生前の内に準備しておくことが肝要です。
生前贈与、遺言書の作成などを検討しましょう。
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投稿者プロフィール

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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
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