米国人が死亡した時の相続手続き
1、市区町村役場、米国大使館または領事館へ死亡届での提出
戸籍法は、戸籍を作成しない外国人が日本で死亡した場合にも適用されます。
なので、日本人と同じく、まずは死亡診断書が、担当医から発行されます。
死亡診断書の片側が死亡届になっている点も同じです。
その後、7日以内に住民票に登録されている市区町村役場へ「死亡届」を提出します。
その際、市区町村役場に
①火葬許可証
②死亡届受理証明書
③死亡届記載事項証明書
を発行してもらうのも同じです。
その後、住民票に死亡の事実を反映させるために、死亡届受理証明書を添えて、故人の在留カードを返却します。
市役所から法務局へ、法務局から該当国の外務省領事局外国人課へと、死亡を通知することで手続きが行われます。
また、米国大使館または領事館へも手続きが必要です。
◎必要書類
①死亡届記載事項証明書
②故人の母国のパスポート
③遺族の名前、住所、電話番号
④故人がアメリカで最後に住んでいた住所
⑤遺体を米国へ空輸するのか、それとも日本で火葬、埋葬をするのか
などです。
2、被相続人が米国人である場合の準拠法は?
(1)不動産米国の法律は一般的に「所在地法」(不動産が所在する地の法律に従う)が適用されます。
なので、被相続人が所有していた
①日本の不動産には日本法
②米国の不動産にはアメリカの州法
が適用されます。
(2)動産:
被相続人の住所・居所の法律が適用されます。
なので、被相続人の住所が日本にある場合、日本の法律が適用されます。
3、プロペート
米国の相続では、相続人間の話し合いで勝手に遺産を分配することはできず、裁判所の監督の下で、遺産の確定、負債の弁済、相続人への分配がされます。
これを「プロベート」といいます。
米国に財産(例:不動産)がある場合、相続に必要なプロベートが始まるまで、財産は凍結されてしまいます。
4、日本での相続手続き
被相続人が外国人の場合、日本人とは異なる手間、時間、労力がかかります。
(1)遺言書の確認
日本の民法に従った「自筆証書遺言」「公正証書遺言」のほか、被相続人の本国法に従って作成された遺言書も有効となる場合が多いです。
↓
(2)相続人の調査
相続人が日本人の場合は戸籍から調べられますが、被相続人が外国籍の場合には戸籍がありません。
なので、米国の被相続人の出生証明書や婚姻証明書など、被相続人との関係性が掲載されている書類を取り寄せる必要があります。
①出生証明書:
大使館や領事館で申請。ワシントンの米国国務省から取り寄せます。
②婚姻証明書:
日本で入籍していれば戸籍から可能ですが、米国で離婚後日本で再婚している可能性もあるので、米国からも取り寄せる必要があります。
↓
(3)相続する財産を調査する
上にも書いた通り、米国に財産(例:不動産)がある場合、相続に必要なプロベートが始まるまで、財産は凍結されてしまうので、注意が必要です。
(4)相続人全員による遺産分割協議
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投稿者プロフィール

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山梨県甲府市の行政書士です。
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