日本と米国、どちらの国で相続税の申告が必要?

米国の連邦遺産税の基礎控除額は、1292万ドルとなっています(2023年度)。

日本円に換算すると約19億円となり、遺産の額がこの金額に満たない場合、遺産税は発生しません。

他方、日本の相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」となっています。

(1)被相続人が米国在住、相続人が日本在住

◎事例:

①被相続人は日本国籍を有しているが、米国に15年間居住している

②相続人はいずれも日本国籍。日本に居住

③遺産の総額15億円(米国に10億円、日本に5億円)

被相続人が米国に居住している場合、国籍問わず、米国の遺産税の対象となります。

遺産総額15億円が遺産税の対象となりますが、基礎控除内となるため、実際の税額は発生しません。

他方、日本の相続税については被相続人と相続人のそれぞれが日本に住所があるかどうかにより判定します。

被相続人が米国に居住していても、相続人が日本に住所を有している場合は、日本の相続税の対象となります。

また、課税対象となる財産は、日本国内、国外のいずれも含まれます。

なので、日本で遺産総額15億円に対する相続税の計算を行う必要があります。

(2)被相続人が米国在住。相続人も米国在住

①被相続人は日本国籍。米国に15年間居住

②相続人はいずれも日本国籍。米国に15年間居住

③遺産の総額15億円(米国に10億円、日本に5億円)

被相続人が米国に居住しているので、米国の遺産税の対象となります。

遺産総額15億円の全額が遺産税の対象となりますが、基礎控除内となるため、実際の税額は発生しません。

他方、日本の相続税については、本事例のように、被相続人、相続人ともに10年を超えて国内に住所がなければ、日本国内の財産のみが対象になります。

なので、日本の相続税については、日本国内にある財産5億円のみが対象となります。

(3)被相続人は日本在住、相続人も日本在住

①被相続人は日本国籍。日本に居住している

②相続人はいずれも日本国籍。日本に居住している

③遺産の総額15億円(米国に10億円、日本に5億円)

被相続人が米国に居住していないため、米国内の財産10億円のみが遺産税の対象となります。

非居住外国人の場合、基礎控除額は「6万ドル」に変わり、銀行預金等は連邦遺産税の課税対象から除外されます。

他方、被相続人、相続人ともに日本国内に居住しているため、日本の相続税の対象になります。

日本国内の財産だけでなく、米国にある財産も含めた15億円が相続税の対象になります。

(4)被相続人が日本居住、相続人が米国居住

①被相続人は日本国籍を有しており日本に居住

②相続人はいずれも日本国籍。米国に15年居住

③遺産の総額15億円(米国に10億円、日本に5億円)

被相続人が米国に居住していないので、遺産税の対象になるのは米国の財産10億円のみ。

非居住外国人の場合、基礎控除額は「6万ドル」に変わり、銀行預金等は連邦遺産税の課税対象から除外されます。

他方、日本の相続税については、被相続人が日本国籍で国内の住所を有すると、相続人の居住地に関係なくすべてが対象となります。

なので、米国にある財産も含めた遺産総額15億円が日本の相続税の課税対象になります。

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