遺言書が「配偶者に対し「相続させる」」だった場合

配偶者居住権」とは、亡くなった方が所有していた実家等の建物に、亡くなった人の配偶者が住み続けられる権利です。

従来、配偶者が相続によって実家の所有権を獲得しても、他の相続人とのバランス上、預貯金等の相続を諦めざるを得ませんでした。しかし、これでは、住む家は確保できても、生活するのに困ることになります。

「配偶者居住権」は「無償での住居の確保」と「バランスの良い遺産分割」の双方のバランスを考慮した制度といえます。

①配偶者が、亡くなった人が所有していた物件に、相続開始の時点で居住していたこと

②遺産分割協議、遺言書(相続、ではなく「遺贈させる」と記載)、家庭裁判所の審判のいずれかが必要

㋐遺言の解釈にあたっては、遺言書の文言を形式的に判断するだけではなく

㋑遺言者の真意を探究すべきものであり

㋒遺言書が多数の条項からなる場合にそのうちの特定の条項を解釈するにあたっても、単に遺言書の中から当該条項のみを他から切り離して抽出しその文言を形式的に解釈するだけでは十分ではなく、

㋓遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などを考慮して遺言者の真意を探究し、当該条項の趣旨を確定すべきものであると解するのが相当である。

(最高裁昭和58年3月18日)

遺言書の記載が「妻に配偶者居住権を「遺贈させる」ではなく「相続させる」だったとしても、遺言者の真意を探求すれば、「配偶者居住権の「遺贈があった」と解釈すべきとして、遺贈があったと認めてよい。

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