兄弟で「家族信託」

「家族信託」は、所有権を「財産権(財産から利益を受ける権利)」と「財産を管理運用処分できる権利」とに分けて、後者だけを子供等に渡すことができる契約です。

これにより、所有者である親が認知症になったり、介護が必要になって自分で財産を管理できなくなったとしても、子供等が親のために、信託された財産の管理、運用、処分をすることができるようになります。

「家族信託」の登場人物ですが「委託者」「受託者」「受益者」です

・委託者:財産の元々の所有者。受託者に財産を信託する人

・受託者:委託者から財産の管理運用処分を任される人

・受益者:財産から利益を受ける人

「家族信託」の仕組みは、委託者が財産の管理を受託者に任せ、その財産を受託者が管理、その財産から発生した利益を受益者が得る、です。

◎メリット

信託事務の負担を分担できる一人ひとりの負担が軽減され、効率的に任務を遂行することができる

◎ディメリット

①保存行為を除く行為は、信託契約に別段の定めがある場合を除き、原則、受託者の過半数の同意により決定しなければならないので(信託法第80条)、意思決定に複数受託者の同意が必要となってしまう。

②共同受託者では「信託口口座」が開設できない

家族信託では受託者が不在の状態が1年間継続すると、信託自体が終了してしまいます(信託法第163条3項)。

そのため、万が一の場合に備え「第二受託者」を定めておく方法があります。

「受益者代理人」とは、受益者が自らの意思を表明できない場合にその意思を代行する立場の方をいいます。

受益者代理人を設けることにより、認知症などで判断能力を失っている受益者の代わりに、信託財産を管理することができます。

しかし、受益者代理人が就任すると、受益者本人は通常の受託者の監督以外の、

㋐信託契約の内容の変更

㋑受託者の解任及び辞任への合意

などの重要な判断について、受益者代理人の判断によって決定されることになってしまうことに注意が必要です。

この注意点に対する対策として、委託者が認知症などで判断能力を失った際に備えて「予備的」に受益者代理人を決めておく、があります。

例えば、長男は自宅、預貯金を信託財産とした契約。次男はアパートを信託財産とした契約、と個別に家族信託契約を締結することにより、契約内容の複雑化を防ぐことができます。

この方法ですとそれぞれの契約の受託者は1人なのでそれぞれに「信託口口座」を開設することが可能です。

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認知症を発症し、本人の判断能力が低下していると金融機関が把握すると、 資産が凍結されます。

預金を引き出せなくなったり、自宅を売却できなくなったりします。

そこで、「認知症による資産凍結」を防ぐ目的で、親が自分の財産の管理・処分などを、信頼できる家族(子など)に託す仕組みが「家族信託」です。

山梨県、甲府市で高齢の親の生前の財産管理にお悩みの方。是非専門家にご相談を。

投稿者プロフィール

山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
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