[事例]熟年再婚を息子に理解してもらうには:配偶者居住権、家族信託
1、事例
㋐相談者(父親:X)。早くから妻に先立たれるものの、一人息子(A)を立派に育て上げる。
Aは大学を卒業後、会社の同僚の女性と結婚。
実家を離れ、独立していて、子供が1人いる。
㋑相談者。定年退職後、中学時代の同窓会に出席。再会した女性(Y:独身)と意気投合。交際を開始。再婚を考えている。
㋒相談者は先祖代々の実家を息子であるAに相続させたいと考えている。
しかし、Yと再婚したとして、自分の死後、Yの住む場所が無くなってしまうのを恐れている。
㋓Aは父親の再婚に反対ではない。将来、Yが相続人になることにより、相続分が減ることについても異論はない。
2、遺言書で「配偶者居住権」を遺贈
相談者である父親がYと再婚後、遺言書にて「実家は息子(A)に相続させる」「再婚相手(Y)に配偶者居住権を遺贈させる」旨、記載することが考えられます。
配偶者居住権は原則として終身存続するため(民法1030条1項)、再婚相手の女性(Y)は死ぬまで、無償で家に住み続けることが可能となります。
3、家族信託
「家族信託」は、所有権を「財産権(財産から利益を受ける権利)」と「財産を管理運用処分できる権利」とに分けて、後者だけを子供等に渡すことができる契約です。
これにより、所有者である親が認知症になったり、介護が必要になって自分で財産を管理できなくなったとしても、子供等が親のために、信託された財産の管理、運用、処分をすることができるようになります。
「家族信託」の登場人物ですが「委託者」「受託者」「受益者」です
・委託者:財産の元々の所有者。受託者に財産を信託する人
・受託者:委託者から財産の管理運用処分を任される人
・受益者:財産から利益を受ける人
「家族信託」の仕組みは、委託者が財産の管理を受託者に任せ、その財産を受託者が管理、その財産から発生した利益を受益者が得る、です。本事例の場合、㋐委託者&受益者:相談者(父親:X)㋑受託者:息子(A)㋒第二受益者:再婚相手の女性(Y)㋓信託財産:実家㋔信託終了事由:X&Yの死亡㋕帰属権利者:息子(A)
これにより、相談者と再婚相手の女性は死ぬまで実家に住み続けることができる上に、家族信託契約時に所有権を息子に移動させることで、相談者と再婚相手の死亡後、実家の完全な所有権を取得することができます。
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投稿者プロフィール

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