空き家を相続することになったら
1、空き家
空家等対策の推進に関する特別措置法第2条によると、「空家」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地などのことをいいます。
同じく特別措置法第2条2項でで「特定空き家」についても定義付けられてます。
「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等のことをいいます。
空き家を放置すると
①建物の破損や倒壊で保安上の危険がある
②ゴミの放置による異臭、動物、虫の繁殖等、衛生上有害である
③ゴミの放置、立木、雑草の繁殖等、景観を著しく損なう
④不審者の侵入等、生活環境の保全に著しい悪影響がある
などの弊害が発生します。
また、特定空き家に認定されると、住宅用地の特例が適用できず、最大6倍の固定資産税を支払うことになります。
2、対策
(1)小規模宅地等の特例
「小規模宅地等の特例」とは、亡くなった人が自宅として使っていた土地を、配偶者か、亡くなった方と同居していた親族が相続した場合、土地の評価額を8割引きにしますよ、という特例です。
◎条件
①故人が使っていた土地
小規模宅地等の特例は、亡くなった方が自宅として使っていた土地に使うことができます。
なので、例えば、別荘として利用していた土地や、子に貸している土地等には使うことができません。
②面積は330㎡まで
空家に対する直接の対策にはなりませんが、相続税対策になります。
また、相続後「売却」を視野に入れている場合に、それぞれの適用の要件が違うので注意が必要です。
(2)空き家の3000万円の特別控除
「空き家の3000万円特別控除」とは、相続または遺贈で取得した空き家を売却し、所得が発生した場合、譲渡所得の金額から最大3000万円までを控除することができる制度のことをいいます。
ただし、相続などで取得した相続人が2人までの場合は各人の控除額は3000万円が上限になりますが、令和6年以降の売却で3人以上いる場合は各人の控除額の上限は2000万円に引き下げられます。
長期(短期)譲渡所得の金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)
◎要件
①昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された建物であること
②相続または遺贈(包括遺贈)で空き家とその敷地をともに取得したものであること
③区分所有建物登記がされていない建物であること
④相続開始の直前まで被相続人以外が居住していなかったこと
(注:被相続人が老人ホーム等に入居していた場合などの例外規定もある)
⑤建物付きで売却する場合、売却日までに一定の耐震基準を満たすこと。または売却日の翌年2月15日までに耐震基準を充たすリフォーム工事を行うこと
⑥売却代金が1億円以下であること
⑦「特別の関係にある者」(配偶者、直系血族など)に対する譲渡ではないこと。
⑧相続開始以後、3年を経過する日の属する年の12月31日までに相続した空き家を売却すること
など
※参考:「国税庁HP「NO.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
※参考:「国土交通省HP「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3000万円特別控除)」
(3)相続土地国庫帰属制度を利用する
「相続土地国庫帰属制度」とは、相続した土地を国が引き取る制度のことをいいます。
前提として、更地にしなければならないこと、法務省HPに「引き取ることのできない土地の要件」の記載があるので、注意が必要です。
(4)貸し出す
空き家をリノベーションして賃貸経営できれば、売却しなくても定期収入を得ることができます。
例えば、現在「高齢者に対する貸し渋り」が問題となってますが、逆転の発想で孤独死などの対策を立てた上で「高齢者向け」として貸し出せば、借り手が見つかり易く、空き室リスクも少なくなります。
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投稿者プロフィール

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◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
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