「事業承継税制」の取消事由

「事業承継税制」とは、中小企業の事業承継において、条件を満たせば事業承継に関する贈与税や相続税の納税を猶予・免除される制度のことをいいます。

中小企業庁が中小企業を支援するために、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)によって事業承継税制が定められています。

事業承継税制ですが、大きく分けて

(1)法人版事業承継税制

非上場株式等についての贈与税、相続税の納税猶予制度

(2)個人版事業承継税制

個人の事業用資産についての贈与税、相続税の納税猶予制度

があります。

法人版事業承継税制は、「一般措置」と「特例措置」があります。

「一般措置」とは、平成30年4月における税制改正以前の制度のことです。

これに対し、「特例措置」とは、手厚く支援したものです。

ただし、平成30年(2018年)からの10年間限定の措置です。

◎特例措置

(1)贈与税、相続税猶予の条件

①後継者が会社の代表者であること

②後継者が同族内で筆頭株主であること

③上場会社、⾵俗営業会社に該当しないこと

④猶予対象となった株式を継続保有していること

(2)贈与税、相続税の免除

①先代経営者が死亡したとき

後継者の贈与税は免除される。

ただし、贈与税に代わって相続税が発生する。
都道府県の確認(切替確認)を受けることで、相続税の納税が猶予される。

②後継者自身が死亡したとき

贈与税、相続税の納税は免除される。

※参考:「中小企業庁HP

事業承継税制は、適用後も満たさなくてはいけない様々な要件があります。

要件を満たせない場合、事業承継税制の適用が取消となり、猶予されていた全額または一部の贈与税・相続税に利子を上乗せして納付することになります。

◎主な取消事由

①後継者が退任、死亡により代表者でなくなった

②平均8割の雇用が維持できなくなった

③後継者と同族関係者の議決権割合が50%以下になった

④納税猶予中の株式の一部を譲渡した

⑤会社が解散または組織変更をした

⑥都道府県・税務署へ必要書類の提出をしなかった

など。

※参考:「中小企業庁HP「認定の取消について

従来の事業承継税制(一般措置)ですと、後継者が自主廃業したりM&Aによる株式の譲渡を実施後に株価が下落しても、承継時の株価を基に贈与税または相続税が課税されてしまいました。

特例措置では、売却額や廃業時の評価額を基に納税額を計算。承継時の株価を基に計算された納税額との差額が減免されます。

例:

承継時の株価総額が2億円で納税猶予額が1億円。

10年後に売却額が1億2000万円に減少。再計算した納税額が5000万円の場合、1億円ではなく、5000万円が納税額になります。

(1)適用要件を確認、維持する

事業承継税制を利用する為には適用要件を満たさなければなりませんが、適用開始後も引き続き適用要件を満たすことが必要です。

適用後も取消事由に該当しないよう注意しましょう。

(2)5年経過後の「継続報告書」の提出

事業承継税制の適用後5年間は毎年、都道府県に「年次報告書」、税務署に「継続届出書」を提出する必要があります。

6年目以降は3年に1回、税務署のみに「継続届出書」の提出となりますが、毎年ではない分、忘れるリスクもあります。

6年目以降に継続届出書の提出を忘れてしまうと事業承継税制の適用が取消になってしまうため、注意しましょう。

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「事業承継税制」とは、中小企業の事業承継において、条件を満たせば事業承継に関する贈与税や相続税の納税を猶予・免除される制度のことです。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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