事業承継時に自社株の評価額を下げるには
1、自社株の評価額を下げる必要がある理由
株式を渡すには、
①相続させる
②贈与する
③譲渡する
という3つの方法がありますが、いずれも税金が発生します。
例えば、①の場合、相続税がかかります。
株式の評価額が高くなればなるほど、その税額は高くなります。
株式以外にこれといった財産がなければ、納税資金の確保に苦労することになります。
株式を一部売って換金することも考えられますが、上場株式と違い、非上場株式は換金しにくい財産です。
自社で株式を買うという方法がありますが、会社の体力を削ってしまう弱点があります。
なので、後継者が納税資金の用意に苦しまなくてすむようにするには、経営者が自社株の引き下げ対策をしておく必要があります。
2、株価を下げる方法
(1)先代経営者に退職金を支払う
役員退職金を大きくすることは「会社の支出が大きくなり、会社の純資産が減少すること」を意味するので、自社株の評価を引き下げることができます。
また、役員退職金は「当期の利益を圧縮、法人税の負担額を減らすことができる」等のメリットがあります。
(2)役員報酬を上げる
役員報酬は適正範囲内であれば、費用として認められます。
なので、役員報酬を引き上げれば会社の利益や純資産を減らすことが可能です。
ただし、規模の小さい会社で役員が経営者自身しかいない場合、役員報酬を上げることは経営者の所得税を上げることになってしまいます。
(3)株式配当金を下げる
未公開株の場合、自社株の配当率が高くなる傾向があるため、配当金を下げることで自社株の評価額を下げることができます。
経営者が全株を保有しているなら株主総会で配当率を引き下げることも容易です。
(4)生命保険を活用する
生命保険は会社の「損金」として計上できるため、結果として利益が減らし株式評価を下げることができます。
また、経営者が生命保険に加入して受取人を後継者にしておけば、その保険金を納税資金や事業資金に充てられるメリットがあります。
(5)不動産を購入する
不動産の購入は資産の移転です。
土地の評価額は時価の7割程度、建物は時価の6割程度で評価額が計算されます。
なので、現金や預貯金などで資産を確保しておくよりも、不動産を購入してしまった方が自社株の引き下げに繋がります。
(6)設備投資を行う
機械の入れ替え等、設備投資を行えば、これまで使っていた機械や建物の除却損を計上できます。
計上できれば、会社の利益や純資産額を減らすことができるので自社株の評価額を下げられます。
(7)不良債権を処分する
不良債権を処分し、貸倒損失として計上すれば、会社の利益や純資産を減らせます。
(8)高収益、評価部門を子会社化する
利益を生み出す高収益部門を子会社として分離してしまえば、親会社の株式の評価額計算には影響を与えなくなり、評価額の上昇の抑制に繋がります。
投稿者プロフィール
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