マンションにおける民泊差止の仮処分

マンション内で民泊が行われ、理事会からの申入れ、理事長による勧告等によっても民泊が継続する場合、対応方法の一つとして、裁判所に民事訴訟を提起するほか、民泊の差止めを命じてもらうための法的手続を申し立てる方法があります。

しかし、前者ですと、訴訟の提起から判決の言渡しまで半年から1年程度かかる場合があります。

現に民泊営業により生活上の問題が生じているような緊急案件などでは、判決を待っていては目的が達することができません。

そこで、用意されているのが差止の仮処分です。

民泊の差止めの訴訟や仮処分を求める根拠規定として、区分所有者が共同の利益に反する行為をしている場合にその行為の停止等を請求することができる(区分所有法57条)が挙げられます。

民泊が共同の利益に反する行為といえるためには,民泊が管理規約違反であるといえることが必要です。

平成29年8月の標準管理規約改正以降、民泊を明示的に禁止する管理規約の改正を行っていれば問題なく認められるでしょう。

これに対し、改正標準管理規約に準拠した「専ら住居の用に供する」との用途制限しかしていない場合、「規約に違反しているかどうか?」を争う必要があります。

民泊差止の仮処分を求めるには、総会の普通決議、つまり、区分所有者数の過半数と議決権の過半数の賛成が必要です(区分所有法第57条2項)。

また、区分所有法57条による請求は、管理組合としてではなく,管理者又は総会で指名された区分所有者が他の区分所有者を代表して申し立てることになります(区分所有法第57条3項)。

仮処分を申し立てると、裁判所は民泊を行っている区分所有者を呼び出して審尋という手続を行います。

審尋の中で、区分所有者に反論の機会を与えた上で差止めを命じるかどうかの判断をします。

裁判所が差止めを命じる必要があると判断した場合、申立てをした債権者に一定の担保金の供託を命じ、供託がされたときは、差止めを命じる仮処分を発令します。

民泊の差止めを命じる仮処分が発令されたにもかかわらず、区分所有者が民泊をやめない場合、差止めを強制的に実現するためには強制執行の申立てをする必要があります。

民泊の差止めの場合は間接強制という方法によります。

間接強制とは,裁判所が民泊を行っている区分所有者に対し、民泊を行った場合には一定の金員(間接強制金)を支払うことを命じ、心理的な圧迫を与えることによって民泊差止めの実現を図る手続です。

「民泊を行ったときは1日あたり○万円を支払え」という趣旨の決定となります。

※関連記事

マンションで民泊を禁止するには

国はマンション管理規約のひな型である「マンション標準管理規約」を設定。民泊を可能とする場合と禁止する場合の双方の規定例を示しています。

マンションの管理規約での民泊の可否規定

「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」(標準管理規約第12条)

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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