マンションの管理費等を長期間滞納。しかし、既に抵当権が設定されている

◎事例:

マンションにマンションの管理費を滞納し続けている区分所有者がいます。

管理組合では、内容証明郵便で支払いを催告してきましたが一向に支払いがなく、弁護士に依頼して管理費の支払いを求め提訴をし、勝訴判決まで得たのですが、それでも全く支払いに応じません。

滞納者の所有するマンションには既にマンションの時価を大きく上回る抵当権が設定されているため当該マンションの競売をすることもできず、また、滞納者の勤務先も不明であるため、給与の差押えもできません。

滞納者のマンションに時価相当額以上の抵当権が設定されている場合、管理組合が、通常の管理費の支払いを命ずる判決に基づき競売申立をしても、裁判所によって却下されてしまいます(民事執行法63条:無剰余却下)

また、滞納者の預金の差押えについても、どこの銀行のどこの支店に預金があるかを管理組合の方で特定しなければ差押えができません。

仮に、預金口座が分かったとしても、このような滞納者には殆ど預金が残っていないのが通常です。

①建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をしたり、その行為をするおそれがあること

②その行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しいこと

③他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であること

の要件を満たせば「区分所有権の競売の請求」が認められます

(区分所有法第59条1項)

59条により競売が実施されると、その競売代金は、

㋐まずは、手続き費用としての管理組合が収めた予納金の返還に

㋑次に、抵当権者に配当される

ので、当該競売代金からは管理費等の支払いは受けることはできません。

しかし、競売後新所有者に代われば、その新所有者が旧所有者の管理費等の支払い義務を承継するので、滞納管理費を回収することができます。

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