「家族信託」の費用

家族信託」は、所有権を「財産権(財産から利益を受ける権利)」と「財産を管理運用処分できる権利」とに分けて、後者だけを子供等に渡すことができる契約です。

これにより、所有者である親が認知症になったり、介護が必要になって自分で財産を管理できなくなったとしても、子供等が親のために、信託された財産の管理、運用、処分をすることができるようになります。

◎事例:

㋐父親は既に死亡

㋑母親は施設に入所。入所後認知症に。10年後死亡

㋒母親名義の空き家(昭和58年築造)の固定資産税:年間10万円。毎月の維持管理費(清掃代等):1万円

㋓子供としては、実家を売却。施設の入所費用としたかった

㋔相続発生後、3000万円で売却

◎「家族信託」を利用しなかった場合

母親が認知症なので実家を売却できず。

固定資産税:10万円×10年=100万円

維持管理費:1万円×12か月×10年=120万円

相続発生後

売却価格:3000万円だと譲渡所得税として約600万円。

なお、「昭和56年5月31日以前に建てられた建物」ではないので、「相続した空き家を売却したときに利用できる3000万円特別控除」は使えません

以上より合計120万円+60万円+600万円=780万円の費用がかかります。

◎事例:

㋐父親は既に死亡

㋑母親は施設に入所。入所後認知症に。10年後死亡

㋒母親名義の空き家(昭和58年築造)の固定資産税:年間10万円。毎月の維持管理費(清掃代等):1万円

㋓子供としては、実家を売却。施設の入所費用としたかった

㋔家族信託締結後から1年後3000万円で売却

家族信託契約の費用(専門家への報酬):契約書作成+公証役場への手数料+登録免許税、等で50万円~80万円

固定資産税:10万円×1年間=10万円

維持管理費:1万円×12か月=12万円

売却価格:3000万円

「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除」が使えるので、譲渡所得税0円

以上より、50万円~80万円の費用がかかります。

勿論、「人生一寸先は闇」。

家族信託を利用しなくても

「母親が認知症にならなかったら」

「相続した空き家を売却したときに利用できる3000万円特別控除」が使えたら」

「母親が5年で亡くなったら」

家族信託を利用しても

「実家が中々売れなかった」

「相続発生まで売れなかった」

等の「if」があれば、家族信託を利用しなかった方が費用が安くなる場合もあります。

ただ、家族信託を利用しないと、認知症等、判断能力が低下すれば、実家を売却できません。

判断能力が低下しない保証がどこにもない以上、「備えあれば憂えなし」のほうが遥かに安心。

親の判断能力が低下してからでは手遅れです。

元気な内に、判断能力のある内に、将来困らないように…。

「保険」として考えるのは如何でしょうか。

不安があるようでしたら是非専門家に相談を。

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投稿者プロフィール

山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
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