長期平準定期保険
1、長期平準定期保険
「長期平準定期保険」は、保険期間が「長期」かつ、保険金が「平準」の定期保険です。
特徴
(1)定期保険なのに保険(契約)期間が95~100歳までと長期
保険期間を長期化することによって、解約返戻金率を高くすることが可能となるため、一般的には、満期まで加入を続けるのではなく、保険事故(被保険者の死亡等)がなければ、解約返戻金がピーク時の時点で解約することを前提にする。
(2)平準で変わらない
保険金死亡、高度障害となった時に受け取れる保険金額が、保険期間中一定で変わらない。
例えば、死亡保険金額1億円での契約なら、加入直後に死亡しても、保険期間終了間際に死亡しても同じ1億円の保険金額となります。
2、長期平準定期保険のメリット、ディメリット
(1)メリット
経営者に万が一のことがあっても会社を守ることができる。
例えば、中小企業では、金融機関から融資を受ける際、経営者個人が連帯保証人として債務保証をしているケースがほとんどです。
もし、経営者に万が一のことがあった場合、この連帯債務は、遺族(相続人)が相続することになります。
会社が長期平準定期保険の生命保険金を受け取り、そのお金で融資を返済すれば、そういった事態を避けられます。
(2)ディメリット
短期間で解約すると不利になる。
長期平準定期保険は、長期間加入することが前提となってます。
通常は、解約返戻率がピークになるタイミングは、契約後20~30年程経過した時期となりますが、それよりも前に解約した場合、解約返戻金は、支払った保険料を大きく下回ります。
3、長期平準定期保険の活用:事業承継
会社が受け取る生命保険金は、オーナー企業である中小企業の事業承継対策や相続対策にも利用できます。
(1)事業承継、相続対策
①後継者の相続税納税資金の確保
後継者が相続した自社株に多額の相続税が課される場合の対策の一つに、法人が受け取った保険金を原資として、後継者から自社株式の一部を買い取り、いわゆる「金庫株」にする方法が考えられます。
後継者は売却したお金で相続税の納付ができます。
なお、自社株式を発行会社に売却した場合の譲渡益は、通常は、みなし配当所得として総合課税の対象となり、最高税率55%(所得税+住民税)の累進税率が適用されます。
しかし、相続によって取得した自社株式を発行会社へ売却した場合、一定の条件でいわゆる「金庫株特例」と呼ばれる優遇税制が適用されます。
適用可能なら20%の分離課税となり、相続税納税資金を準備することができます。
②後継者以外の相続人に支払う代償交付金の確保
死亡した経営者に複数の相続人がいる場合で、後継者が自社株を集中して相続した際、遺産分割の公平を図るために、後継者から他の相続人への「代償交付金」を支払うという方法があります。
後継者が、この代償交付金の支払い資金を用意するためには、相続した自社株式の一部を会社に売却して現金化すればよい。
会社は、長期平準定期保険の保険金を、自社株の買い取りの原資とします。
4、長期平準定期保険の活用:役員退職金
会社が受け取る生命保険金は、役員退職金の資金準備にも有効です。
長年勤務した社長や役員が退職する場合、高額の役員退職金の支払いが必要となります。
しかし、中小企業において、それだけのキャッシュが一度に流出すると、資金繰り悪化の恐れがあります。
そこで、役員退職金支払いの原資として長期平準定期保険の解約返戻金を活用します。
長期平準定期保険の特徴は、解約返戻金のピークの変化が比較的なだらかで、高い返戻率の時期が長く続く点です。
そのため、40代や50代で、現時点では、退職時期がはっきり決まっていない経営者や役員の退職金準備にも適しています。
仮に退職時期が1~2年ずれたとしても、解約返戻率が急激に下がる可能性が低いので心配ないです。
※「Yahoo NEWS「事業承継で後継者が親族の場合、生命保険の活用方法」
投稿者プロフィール
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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
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