ペット後見
1、ペット後見
「ペット後見」とは、飼い主が入院や死亡等により、万が一ペットを飼えなくなる事態に備え、飼育費用、飼育場所、支援者をあらかじめ決めておくことで、飼えなくなった場合に備える取り組みです。
飼い主が亡くなったときに備えるものとして
①負担付遺贈:財産を遺贈する代わりに、ペットのお世話を頼む遺言
②死因贈与契約:財産を贈る贈与者と、受け取る受贈者が、生前から贈与内容について契約を交わす
があります。
2、飼い主の入院等に備えて
では、死亡以外。入院等でペットを飼うことができなくなった場合に備える方法として何があるでしょうか?。
ペットなので、高齢者の「見守り契約」のように部屋の中にセンサー付けて反応なければ警備員が駆け付ける、旨の契約内容は難しい。
勿論、高齢者が体調不良→異常を感じた警備員が駆け付ける、通常の「見守り契約」に「警備会社がペットの引受先に連絡。引受先、ペットの世話開始」を加えることは可能です。
既に後見人が付いてれば、「身上監護」の一環として入院手続き。その際にペットの引受先に連絡。引受先ペットの世話開始、にすればよい。
では、後見人がいない場合は?。
下にある「ペット信託」の方法があります。
◎関連記事:「見守り契約」
3、ペット信託
「ペット信託」とは、財産を信頼できる第三者へ託し、ペットの飼い主の、もしもの事態に備えることのできる信託です。
①委託者:ペットの飼い主
②受託者:信託財産(金銭)を管理する者
③受益者:実際、ペットを飼育する者
(1)「ペットの飼い主である委託者」が、「信託財産(金銭)を管理する受託者」と「実際にペットを飼育する受益者」を選びます。委託者に判断能力がないと、契約自体が無効になるので注意しましょう。
↓
(2)契約の内容
①飼い主(委託者)の希望する飼育条件を盛り込む。
②万が一のための、連絡方法を定めておく。
③信託の終了時(ペットの死亡等、信託終了原因)の残余財産の帰属権利者についても定めておく。
4、ペット信託のメリット
①世話にかかる費用として、飼育費としての信託財産があるので、確実にペットの飼育費を残して、ペットを第三者に託すことができる。
②ペットに関する信託財産を託された受託者は、信託財産の支出について、信託契約で決められた範囲でしか使うことができない。
つまり、信託財産はペットのためにしか使うことができない。
③ペット信託は、遺贈や死因贈与と異なり、ペットの飼い主(委託者)とペットを世話する人(受益者)が十分に事前に打合せをした上で、合意することができるので、飼い主の希望に近いペットの飼育条件を信託契約に盛り込むことができる。
また、信託監督人を置くことにより、ペットの飼育条件が守られているか、実際きちんと飼育されているか、信託財産が適切に使用されているか等をチェックすることもできる。
④ペット信託が終了したタイミングで残った財産について、どのように処分するのか、例えば、相続人に譲り渡すのか、その他親族などに譲るのか等を、事前に決めておくことができる。
5、まとめ
ペットは「家族の一員」の時代。
高齢者がペットを飼うと、認知症になるリスクが減るとも言われている。
上に挙げた「ペット信託」は、何ていっても、自分の生前から契約がスタート。文字通り「備えあれば憂えなし」の状態を作ることができる。
今後このような契約形態が増えるでしょうね。
◎関連記事:「ペット葬儀」
◎関連記事:「ペットと一緒にお墓に入ることができる?」
◎関連記事:「ペットの死因贈与契約書」
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