孤独死の相続手続

「孤独死」とは、誰にも看取られることなく一人で亡くなってしまうことをいいます。

故人が生前人付き合いなどあれば、「見守りサービス」等、加入していれば、1日以内等の早期発見もありえますが、発見が遅れる場合は…。部屋の中に死臭が漂い、悲惨な状況になります。

◎孤独死発見後の流れ

①警察の現場検証

殺人等、事件性がなかった場合、医師が立ち会いのもと検死が実施、検視、検案を終えると死体検案書が発行されます。遺体の引き渡しまでの期間は、1週間~1か月程度が目安となります。

(2)遺族の方に連絡

遺体は一旦警察が預かります。

役所などと連携して亡くなった方の身辺調査を行い、身寄りの方を探します。

親、子、兄弟姉妹等、法定相続人に該当する遺族が見つかったら連絡を行います。

(3)警察署に行き、遺体引き取り

◎必要書類

①身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証等)

②印鑑

◎費用

㋐検死費用:5万円程 

㋑遺体保管料:1泊2000円

㋒死体検案書発行料:5000~1万円

㋓搬送料(現場~警察署、警察署~解剖場所~葬儀場:

10kmまで 12000円~15000円 10kmごとに2000円~5000円の加算

(4)死体検案書を受け取ったら死亡届提出。火葬許可申請書の提出

(5)葬儀

葬儀後、被相続人の自宅で相続財産の調査をすることになりますが、孤独死の場合、発見までに時間がかかることが多く、遺体の腐敗が進んでしまうことがあるので、特殊清掃を実施後、残置物の整理(遺品整理)を行いながらになります。

相続財産には

(1)預貯金、不動産、株券などのプラスの財産

(2)借金などのマイナスの財産

がありますが、両方調査します。

①預貯金:

自宅で通帳、キャッシュカードを探す。

公共料金、クレジットの引き落とし口座を探すなど。

②不動産:

固定資産税納税通知書を探す。

役場で名寄帳(なよせちょう)を取り寄せる

など。

③株式、投資信託

証券会社からの郵便物、株主総会の招集通知などを調べます。

株式を預けている証券会社が分からない場合、「証券保管振替機構」に問い合わせると、どこの証券会社と取引があるのか開示してもらえます。

※参考:「証券保管振替機構HP「株主、相続人の手続き

④借金

信用機関に調査を依頼します。

①CIC(指定信用情報機関):主にクレジット会社等信販系

②JICC(日本情報信用機構):主に消費者金融

③KSC(全国銀行協会):銀行、信用金庫等

故人へ届く郵便物を確認します。

不動産、預貯金、自動車などの相続手続きにおいて、手続きを進めるには相続人全員の遺産分割協議書が必要となりますが、被相続人が孤独死した場合、相続人同士、お互い面識すらないことが多く、連絡から協議に至るまで難航します。

また、親子の相続と異なり、兄弟姉妹の相続になることが多いですが、必要な戸籍謄本の量が多くなり、相続人の負担が増加します。

相続放棄の期限は「自分が相続人だと知った時から3ヶ月以内」ですが、被相続人が孤独死した場合、その限られた期間内に借金などを含めた財産調査を行い、相続放棄を検討するのは非常に困難です。

また、相続財産が不明の段階で、被相続人の自宅で遺品整理をしたことにより、相続財産の処分行為に該当。「単純承認」とみなされ、相続放棄できなくなることもあります。

遺品整理のみならず、孤独死後の相続手続きについて、是非専門家に相談を。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
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