相続人に知的障害の方がいる場合、生前の内に公正証書遺言の作成を

◎事例:

父親死亡。

相続人は母親、長男(子供なし夫婦)、次男(重度の知的障害者)。

父親が遺言書を残していないと、母親、長男、次男による遺産分割協議になりますが、次男は重度の知的障害者なので、家庭裁判所に成年後見人選任の申し立て。選任後成年後見人が参加することになります。

そして、遺産分割協議の際、成年後見人は本人の財産を守る見地から「法定相続分」を主張してきます。

かくして、遺産分割は法定相続分に。

この後、母親、長男の順に亡くなった際も同じことが起こります。

次男が亡くなると財産は国庫に。

障害などにより判断能力を失った人の財産管理の手段として「成年後見制度」の利用があります。

しかし、成年後見制度は

①家族が親族の就任を希望しても、必ずしも希望が叶うとは限らない

②専門家が就任した場合、毎月ある程度の費用(報酬)がかかる

③一度利用すると死亡するまで止めることができない

など、使い勝手が悪い所がいくつかあります。

「成年後見制度」の利用は「義務」ではありません。

利用したければいつでも家庭裁判所に利用の申立てはできるので、できれば他に選択がない場合の「最後の手段」としてとっておきたいものです。

当面成年後見制度の利用を避ける一つの方法として「公正証書遺言の作成」があります。

「公正証書遺言」は、遺言書の中でも、「公正証書」で作成される遺言書です。

公正証書遺言は、遺言者が相続などについての自分の意思を「公証人」に口授。

証人2名の立ち合いの下、法的な効力を備えた公的な文書(公正証書)として作成してもらったものです。

証明性、有効性が高く、かつ法的な執行力をも備えてます。

また、「公正証書遺言」で「遺言執行者指定」だと、金融機関の手続きで必要なものは

①亡くなった方の戸籍謄本

②遺言執行者の印鑑登録証明書

③銀行所定「相続に関する依頼書」

④遺言書

⑤亡くなった方の通帳、キャッシュカード等

で足ります。

重度の知的障害のある相続人の遺産分割協議への参加、署名、押印(おういん)は不要です。

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銀行の相続手続き

(1)遺言書の有無の調査、検認手続きをする 故人が遺言書を用意していたかどうかを確認。 自筆証書遺言だった場合、家庭裁判所での検認手続きが必要です。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

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