成年後見制度では対応が難しいこと

任意後見も法定後見も、本人の死亡によって終了します。

なので、死後のことについては、親族、相続人による対応となります。

しかし、身寄りがなかったり、たとえ親族がいたとしても疎遠だったりで、死後の葬儀、行政手続きなど、各種手続きを第三者に委任しなければならないケースも考えられます。

対策として「死後事務委任契約」が考えられます。

「死後事務委任契約」とは、委任者(本人)が第三者(個人、法人を含む) に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等に関する代理権を付与して、死後事務を委任する契約です。

遺言書を残しても、

㋐相続分の指定等の相続に関する事項

㋑遺言執行者の指定等の身分関係に関する事項

以外のことは記載しても法的な効力はありません。

法的な効力を付与するためには、死後事務委任契約が最適です。

死後事務委任契約も、死後の事務をやり易くするために、公正証書にするのが一般的です。

病院では、大きな手術をする際、原則本人が契約書、同意書にサイン。判断能力はない場合、親族に同意を求め、同意書にサインを求めてます。

任意後見であれ、法定後見であれ、このような医療に関して同意する権限はありません。元々、投薬、手術のように身体に対する侵襲行為は、同意、代理に馴染まない行為です。


そこで、本人がその場で同意できない場合に備える制度として「尊厳死宣言公正証書」があります。「尊厳死宣言公正証書」とは、嘱託人が自らの考えで尊厳死を望む、すなわち延命措置を差し控え、または中止する旨等の宣言をし、公証人がこれを聴取する事実実験をしてその結果を公正証書にするものです。

医療の現場では必ずそれに従わなければならない法律等の規定はありませんが、日本尊厳死協会の「リビング・ウィル」の2015年アンケート結果によると、医師に提示したところ、9割の人が「活かされた」と答えています。

宣言書は信頼できる家族、かかりつけの医師等に預けておき、いざという時に提示して貰えるようにしておくことが大事です。

※参考:「日本公証人連合会HP

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