「一戸建て民泊」に必要な消防設備

「5項イ」とは、消防法施行令別表第一に定められた宿泊施設(ホテル・旅館など)の分類のことをいいます。

一戸建て住宅で民泊を行う場合、「一般住宅」として扱われるか、「5項イ(宿泊施設)」として扱われる、ですが、民泊が「5項イ」に該当すると、一般住宅よりも厳しい消防設備の設置基準が適用されることになります。

①家主が不在になる

②宿泊室の床面積の合計が50㎡を超える

のどちらかの要件を満たせば「5項イ」に該当します。

旅館やホテルなどの施設と同じ扱いになるので、同等の消防設備が必要になります。

(1)自動火災報知設備

「自動火災報知設備」とは、感知器が熱や煙を感知すると、受信機に信号を送って知らせるものをいいます。

受信機、発信機、中継機、表示灯、地区音響設備、感知器から構成され、建物の延べ面積が300㎡以上だと自動火災報知設備の設置が必要です。

自動火災報知設備は消防整備士の資格を保有している人しか工事ができません。

設備本体、配線工事費等、合わせて100万円ほどかかります。

これに対し、建物の延べ面積が300㎡未満で、2階建て以下の一戸建て住宅の場合「特定小規模施設用自動火災報知設備」の設置だけで済みます。

このタイプの設備は1個15000円程度で購入でき、無線式の物であれば配線工事は必要ありません。

消防整備士の資格を保有していなくても設置できますし、事前の届出も不要です。

(2)誘導灯、非常用照明

「誘導灯」は、火事や地震で停電になったとき、ゲストが安全に避難できるように設置します。

「非常用照明」は停電時に自動で点灯するものです。

その内、誘導灯は電気工事士の資格を保有している人でないと設置できません。

ただし、家主不在型物件や床面積50㎡を超える物件でも、スムーズに避難できると認められれば、誘導灯の設置が免除されることがあります。

(3)防災物品

カーテンやじゅうたんなどは防炎物品とすることが必要です。

(4)消火器

以下の物件は消火器の設置が必要です。

①延べ面積150㎡以上

②地階(いわゆる地下室)

③3階以上の階で床面積が50㎡以上

(1)消防署への事前相談

いきなり消防署に訪問しても担当者不在の場合があります。必ず電話予約してからの訪問が望ましいです。

◎事前相談に必要なもの(注:各消防署によって違います)

①家主居住型か不在型か、を明確に説明する

②各部屋の配置や開口部の位置、寸法、種類(窓、ドアなど)がわかるもの

平面図、立面図、配置図など

③登記簿謄本

相談終了後、必要な消防設備と設置基準を教えてくれるので、その指示に従います。

(2)「工事着工届」の提出

自動火災報知設備、誘導灯など、消防設備士が工事を行う場合、着工の10日前までに「工事整備対象設備等着工届」を提出します。

(3)「消防用設備等設置届」の提出

消防設備の設置が完了したら、4日以内に「消防用設備等設置届」を提出します。これは設置した全ての消防設備(たとえ消火器のみだったとしても)について必要となります。

(4)「適合通知書」の交付申請

全ての消防設備の設置が完了、設置届を提出後「消防法令適合通知書交付申請書」を提出します。

(5)消防署の立入検査

立入検査では、㋐届出通りに設備が設置されているか㋑消防設備が正常に作動するか㋒避難経路が確保されているかなどを確認します。

(6)「防火対象物使用開始届」の提出

宿泊室の床面積が50㎡を超える場合、又は家主不在型の民泊で提出が必要です。

期限は営業開始の7日前までです。

※参考:「甲府消防署HP「消防用設備等の着工・設置届

※参考:「甲府消防署HP「消防法令適合通知書交付申請書

※参考:「甲府消防署HP「防火対象物使用開始届

※参考:「山梨県HP「民泊サービス」について

※参考:「山梨県HP「住宅宿泊事業法に基づき民泊サービスを始める方へ

※参考:「国土交通省HP「民泊の安全装置の手引き

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一戸建て住宅で家主不在型の場合、旅館やホテルなどの施設と同じ扱いになるので、同等の消防設備が必要になります。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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