一人っ子の親なき後の対策
1、一人っ子の親亡き後…
「一人っ子の親なき後の対策」ですが、他に兄弟がいるケースと比べ、障害の程度など含め、困難なことがあります。
(1)一人暮らしができるのか?
一人暮らしができず、施設に入所することになる場合、お金の管理は問題ないとしても、空き家となる実家をどうするのか?、の問題が残ります。
(2)一人暮らしができたとしても、お金の管理ができるのか?
障害年金、就労による工賃などの「収入」、公共料金などの「支出」については、ある程度、自動振込、自動引き落としによる対処が可能です。
しかし、日常の生活費(食費など)については、引き落とし、管理が必要となります。
(3)最終的な遺産の帰属先は?
障害のある子供は、多くの場合、配偶者、子供がいない状態(独身)で生涯を閉じます。
相続人がいないと、最終的に国庫に帰属してしまいます。
2、対策:空き家となる実家をどうするのか?
主な方法として、
①親が遺言書で遺言執行者を指定。不動産の売却後、売却代金を障害のある子供の口座に振込んでもらう。
②実家を信託財産に。受託者(信託銀行など)に障害のある子供の施設入所費用などに充てるための実家の売却権限を付与する。
㋐委託者&受益者:親
㋑受託者:信託銀行など
㋒信託財産:実家
㋓第二受益者:障害のある子供などがあります。
3、対策:お金の管理ができるのか?
障害のある子供がお金の管理ができるのなら「特定贈与信託」があります。
「特定贈与信託」とは、障害を持った人が不自由なく、安定した生活を送れるように、本人の親族等が本人の財産の管理、運用を信託銀行などに任せる方法です。
㋐委託者:障害者を持った子供の親族等
㋑受託者:信託銀行等
㋒受益者:障害を持った子供
①委託者である本人の親族等が、信託銀行等(受託者)に財産を信託
②受託者が管理、運用する財産は、受益者が不自由なく、安定した生活を送るための生活費、医療費等として定期的に交付。それ以外の用途では使用できない。
③信託財産から得られる利益は、障害を持った子供(受益者)が受け取る。
しかし、お金の管理ができず、他に頼るべき身内などがいなければ、「日常生活自立支援制度」を利用する方法があります。
「日常生活自立支援制度」とは、高齢や障害等によって、一人では日常生活に不安のある方が、地域で安心して自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助などを行うものです。
◎支援の内容
①福祉サービス利用のサポート
高齢者や障害者が「介護保険制度」や「障害者自立支援法」等に基づく福祉サービスを利用する際の情報提供、手続きの支援
②金銭管理
医療費や家賃、公共料金の支払い、預金の引き出し等、日常的な金銭管理
③重要書類の管理
通帳や銀行印等、重要書類等管理
④見守り
生活の見守り
※参考:「甲府市社会福祉協議会HP」
※参考:「厚生労働省HP」
4、対策:相続人がいないと、最終的に国庫に帰属してしまう
①生前の内に、遺言書で信頼できる親族に、障害のある子供の面倒を見ることの見返りに財産を贈る(負担付遺贈)。
ディメリットとして、受贈者である親族が受け取りを放棄、拒否することは可能、があります。
②生前の内に、障害のある子供の面倒を見る旨の「負担付死因贈与契約」を締結する
しかし、①②の方法、どちらを採用しても、障害のある子供には遺留分があるので、その分、子供自身が相続する財産については、国庫に帰属してしまうのを避けるのは困難です。
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投稿者プロフィール

- 行政書士
-
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
体の不自由なお年寄りが安心して生活出来る社会を作りたい、
困っている方の力になりたい。
皆で応援し、安心して暮らせる社会を作りたい。
そんな願いを胸に日々仕事に従事しています。
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