孤独死後の相続:相続放棄の是非

「孤独死」とは、誰にも看取られることなく一人で亡くなってしまうことをいいます。

故人が生前人付き合いなどあれば、「見守りサービス」等、加入していれば、1日以内等の早期発見もありえますが、発見が遅れる場合は…。部屋の中に死臭が漂い、悲惨な状況になります。

また、孤独死の相続は被相続人と疎遠なケースが多いです。

葬儀後、被相続人の自宅で相続財産の調査をすることになりますが、孤独死の場合、発見までに時間がかかることが多く、遺体の腐敗が進んでしまうことがあるので、特殊清掃を実施後、残置物の整理(遺品整理)を行いながらになります。

次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

1.相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき(民法第921条1号)

例えば、遺品整理の際

①遺品整理業者が自宅内の物を買い取り、その買取代金を遺品整理業者の作業代に充てた。

②被相続人の滞納督促状を見つけ、債権者に支払ってしまった。

③家の中の古本、高価な物(時計、宝石など)を売却してしまった。

などの行為は、「単純承認」をしたものとみなされ、相続放棄ができなくなります。

これに対し、

相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる(民法第915条2項)。

被相続人の家の中に入り、通帳、証券、権利証などのプラスの財産や滞納督促状などのマイナスの財産があるかどうか、調査することは可能です。

調査後、相続することを決めてから、遺品整理を行います。

逆に、相続放棄をすることを決めたなら、家庭裁判所に「相続の放棄の申述」を行い、受理されたら、相続関係から離脱します。

受理後、迂闊に遺品整理をすると「単純承認」とみなされ、せっかく受理された相続放棄が無効となる可能性があるので注意しましょう。

※参考:「裁判所HP「相続の放棄の申述」

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