ホテル容積率の緩和
1、容積率
「容積率」とは、敷地面積に対する建築物の延床面積の割合です。延床面積とは、建物の各階の床面積の合計のことをいいます。
例:100㎡の敷地、1階の床面積75㎡、2階の床面積45㎡の2階建の建物の場合
延床面積は、75㎡+45㎡=120㎡。
敷地面積が100㎡、延床面積が120㎡なので、容積率は120%。
用途地域ごとに、都市計画の観点から、地方自治体によって容積率の上限が定められています。
これを「指定容積率」といいます。
2、マンションの容積率の特例
マンションなど共同住宅の容積率を計算する場合、廊下、階段、エントランスホール、バルコニー等、共用部分は延床面積から除外されるという特例があります。
例:容積率400%の地域で、200㎡の敷地にマンションを建てる場合
敷地200㎡×容積率400%なので、延床面積800㎡の建物を建てることができます。
全フロアが各100㎡、そのうち共用部分が20㎡なら、各フロアの床面積は100㎡-共用部分20㎡=80㎡。
延床面積800㎡なので、10階建てのマンションを建設することができます。
3、一棟マンションの旅館業許可は難しい
上の注意点は「住宅用以外にはマンションの特例は適用されない」です。
マンション一棟を宿泊施設として旅館業の許可を取得する場合、「住宅」から「ホテル、旅館等」に、建物の用途変更をする必要がありますが、上の例ですと、延床面積が200㎡オーバーしているため、用途変更ができません。
4、容積率緩和制度
2016年「宿泊施設の整備に着目した容積率緩和制度の創設」について、20国土交通省より各自治体あてに通知が発出されました。
通知には、基本的な考え方として、「例えば、建築物の指定容積率の1.5倍以下、かつ、指定容積率に300パーセントを加えたものを上限として緩和することが考えられる」と、記されています。
つまり、「宿泊施設部分」については、「指定容積率の1.5倍かつ+300%以下」数値まで容積率が緩和されることになります。
例;指定容積率400%の場合
(1)全てが宿泊施設部分
「1.5倍(400%×1.5倍=600%)かつ+300%以下(400%+300%=700%以下)」なので、数値が小さい方である「600%」まで緩和されることになります。
(2)宿泊施設部分が半分の建物
宿泊施設部分は「400%(指定容積率)÷2×1.5倍=300%かつ400%÷2+150%=350%以下」なので、数値が小さい方の「300%」となります。
宿泊施設部分以外は適用されませんので、400%÷2=200%+宿泊施設部分の300%=500%の容積率となります。
5、容積率緩和の注意点
この「容積率の緩和」ですが、注意点はあくまでも「通知」であって、緩和を実行する決定権は各自治体にあるということです。
各自治体に強制力はありません。民泊の開始を検討する前に、容積率の緩和の適用の有無について、各自治体への問い合わせが必要です。
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