野良猫への餌やりで損害賠償を請求できる?

(1)フンや尿により悪臭が

野良猫に餌やりをすると、野良猫がその地域に住みつくようになりますが、道路や庭先などでフンや尿をすると悪臭が漂い出します。

(2)夜中に鳴き声による騒音が

野良猫に餌やりをすると、一匹のみならず複数匹の野良猫が集まってきます。

野良猫は夜中に行動が活発になるので、鳴き声による騒音が発生することがあります。

(3)ゴミ袋を荒らされる

野良猫が集まると、お腹が空いてゴミ袋を破り、ゴミをあさることもあります。

ゴミ袋を破られると、悪臭などの被害が発生します。

(1)動物愛護法

都道府県知事は、動物の飼養、保管又は給餌若しくは給水に起因した騒音又は悪臭の発生、動物の毛の飛散、多数の昆虫の発生等によつて周辺の生活環境が損なわれている事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、必要な指導又は助言をすることができます(第25条1項)

この「指導又は助言」には「餌やりの制限、禁止」も含まれます。

都道府県からの命令に従わなかった場合、50万円以下の罰金が科されることがあります(動物愛護法46条の2)。

(2)条例

自治体によっては条例により野良猫への餌やりが制限されている場合があります。

上でも書いた通り、野良猫に餌やりをすることにより、野良猫がその地域に住みつくことで、周辺住民がフン尿、夜中の鳴き声などの被害を受けることがあります。

野良猫への餌やりの頻度、周辺の生活環境への被害の程度などによっては、損害賠償を請求できる可能性があります。

(1)民法第718条:動物の占有者等の責任

動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う(1項)。

占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う(同条2項)

飼い主ではなく、単に餌やりをしているだけでは「占有者」とまではいえず、同条の責任を負わせるのは難しいでしょう。

(2)民法第709条:不法行為に基づく損害賠償請求権

「故意又は過失によ. って他人の権利又は法律上保護される利益を. 侵害した者は,これによって生じた損害を賠. 償する責任を負う」

野良猫への餌やりで「故意」を認定するのは難しいので「過失があるかどうか?」が争点になります。

野良猫への餌やりを続けることで、野良猫が集まり、フン尿、夜中の鳴き声などの被害が発生することは「予見可能」といえますし、「過失あり」「因果関係」があるといえます。

損害額がどの位になるかはともかく、不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することは十分可能です。

集合住宅の自分の専用庭で猫に餌やりをしていたことにより、野良猫のふん尿が住人の洗濯物に付着したり、庭の芝が枯れてしまったりするなどの被害が発生。

管理規約では、動物飼育禁止条項や迷惑禁止条項がありましたが、何度注意しても餌やりを止めなかった。

そこで管理組合と、同じ集合住宅に住んでいる他の住民が、猫の餌やり禁止とその猫による糞尿被害についての、損害賠償を求めた裁判。

判決では、被告の屋外での餌やり行為は、原告管理組合の規定する動物飼育禁止条項又は迷惑行為禁止条項に違反するとして、敷地等における猫への餌やり行為の差止めを認めるとともに、被告の同行為につき受忍限度を超える違法なものと認めて、損害賠償請求を認めました。

上の判例の事案は、管理規約で「動物飼育禁止条項や迷惑禁止条項」があったことで、差止め、損害賠償が認められやすかったといえるでしょう。

現在は「ペットは家族同然」といわれる程のペットブーム。猫は犬と異なり市区町村役場への登録は義務付けられていないものの、マイクロチップの装着が義務付けられています。

それでも、飼い主が放し飼いにすれば、餌やりによる被害が発生する可能性が出てきます。

集合住宅以外でも差止め、損害賠償が認められるためには、法の整備も必要ですが、飼い主一人一人が責任を持って飼うことにより、餌やりによる被害が発生するリスクが少なることも大事ですね。

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