ペットが交通事故にあったら
1、ペットは「物」扱い
飼い主にとって、ペットは大切な家族の一員だとしても、法律上は「物」として扱われます。
なので、ペットが怪我をした場合や、ペットが死亡した場合、「物損事故」に分類されます。
2、ペットが病院で治療を受けた場合
治療費や入院費用を損害として請求できます。
ただし、ペットの市場価値を基準に、社会通念上、相当と認められる金額が上限とされています。
このため、高額な治療費がかかった場合、治療費の全額までは認められないことがあります。
3、ペットが死亡した場合
「財産的な損害」として、ペットの市場価値によって損害額を請求できます。
4、慰謝料
交通事故の慰謝料は、原則として、人身事故に関してのみ認められます。
物損事故については、原則として認められません。
ただ、慰謝料を認めた裁判例もあります。
㋐動物が不法行為により重い傷害を負ったことによ り,死亡した場合に近い精神的苦痛を飼い主が受けたときには
㋑飼い主のかかる精神的苦痛は,主観的な感情にとどまらず,社会通念上,合理的な一般人の被る精神的な損害であるということができ
㋒また,このような場合には,財産的損害の賠償によっては慰謝されることのできない精神的苦痛があるものと見 るべきであるから
㋓財産的損害に対する損害賠償のほかに,慰謝料を請求することができるとするのが相当である
(名古屋高裁平成20年9月30日)
その根拠として、以下のように判示しています。
㋔子供のいない被控訴人らは,F(犬)を我が子のように思って愛情を注いで飼育していたものであり,Fは,飼い主 である被控訴人らとの交流を通じて,家族の一員であるかのように,被控訴人らにとってかけがえのない存在になっていたものと認められる。
㋕ところが,F は,本件事故により後肢麻痺を負い,自力で排尿,排便ができず,日常的かつ 頻繁に飼い主による圧迫排尿などの手当てを要する状態に陥ったほか,膀胱炎や褥創などの症状も生じているというのである。
㋖このよ うなFの負傷の内容,程度,被控訴人らの介護の内容,程度等からすれば,被控訴人らは,Fが死亡した場合に近い精神的苦痛を受けているものといえるから,慰謝料を請求することができるというべきである。
㋗そして,慰謝料の金額については,Fの負傷の内容,程度,被控訴人らの介護の内容,程度等その他本件に現れた一切の事情を総合すると,被控訴人らそれぞれにつき,20万円ずつとするのが相当である
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