道路工事に伴う営業補償

市道は、道路管理者としての市が一般交通の用に供する道です(道路法2条1項)。

市道は、住民ないし一般公衆の通行の用に供するものであり、住民等は、その行政上の措置の反射的効果として、これを自由に通行できることとなります。

このような住民ないし一般公衆が、市道を利用できる関係を「一般使用」といいますが、これは市道を使用する住民ないし公衆に特別の権利を付与するものではなく、住民等は、市道を利用することができる特定の権利又は法律上の利益を有するものではありません。

このことは、市道に接して、店舗を設置し、営業している市民にとっても変わることはなく、市道に接して、店舗を営業していることにより、その営業利益について特定の権利又は法律上の利益を有するものではありません。

したがって、店舗に通じる町道から店舗への展望が自動車道の設置により遮られ、顧客の来店が妨げられ店舗の売上が減少したとしても、店舗を営業する市民は、道路管理者たる市に対し、損失補償を請求する権利はありません

(大阪高裁昭和58年9月30日)

ただし、道路工事を行うにあたっては、道路を利用する住民等に対する悪影響を最小限度にとどめる対策をとる必要があります。

にもかかわらず、必要な対策をとらず、住民等に損害を与えたときは、不法行為による損害賠償債務が発生することもあり得ます。

例えば、店舗の前に「営業中」と大きな看板を見易い位置に設置するとか。

確かに、「権利を有しない」については、理路整然としてて納得なんですが、売上減少に止まらず、店舗が閉店したとしても「甘受しろ」なら、余りにも無慈悲すぎるかな、と。

憲法第29条3項は「私有財産は、正当な補償があれば公共のために使うことができる」と規定しています。

上でそもそも「権利じゃない」としているので、このままでは無理ですが、せめて道路法で「特別な損益」が発生したら「補償する」」と規定しても満更的外れとは思えませんけどね。

何卒「人(店舗)にやさしい「政治」を」

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投稿者プロフィール

山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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