借地権が消滅してしまった

◎事例:

Aさんは長年夫と共に一戸建ての住宅に居住していたが、数年前夫に先立たれ建物の名義はAさんのものになってます。

最近認知症で判断能力が衰えてきたので、遠方に住んでいる子供の家庭裁判所に対する申し立てにより、弁護士が成年後見人に選任されました。

敷地は借地(150㎡)です。

認知症が進行してきたので、Aさんは有料老人ホームに入居。自宅は空き家となりました。

築年数が古く、老朽化も進んでいたので、地主はAさんの後見人の弁護士に対し、誰も住まないで管理しないのなら、そのまま放置するのは危険なので建物を取り壊すように、解体料として200万円要求してきました。

後見人の弁護士は、地主と交渉の末、費用を50万円に減額させました。

建物は地主の費用負担(150万円)も含めて取り壊され、土地は更地になりました。

合わせて、Aさんが有料老人ホームから戻る可能性もないので地主との借地関係も解消しました。

地主の要求した解体費用200万円をそのまま承諾するのではなく、交渉の末、50万円に減額させたのは「功績」。

しかし、財産である「借地権」を消滅させてしまったのは、大いなる「失態」

借地権の相続税評価額=自用地評価額×借地権割合

自用地評価額=路線価×地積(土地の面積)

仮に今回の土地の路線価が40万円、地積150㎡、借地権割合70%の場合

40万円×150㎡×70%=4200万円

つまり、4200万円の価値のある「財産」をみすみす放棄してしまったことになる。

Aさんの死亡後、子供が借地権を相続してから、地主に借地権を買い取ってもらって消滅させる方が、たとえAさんの死亡まで借地料を払い続けたとしても、買取金額の方が高ければ、それだけ「現金」が残るので、地主より有利に話を進めることができましたね。

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投稿者プロフィール

山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

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