年金を信託する方法:認知症発症前、発症後
1、年金は「一身専属権」
「年金受給権」は「一審専属権」、つまり、権利を持つ本人のみに帰属する権利です。
なので、年金を受け取る口座を、受託者名義の「信託口口座」に指定することはできません。
それは、家族信託契約を締結しても同じです。
2、家族信託開始後に受け取った年金
家族信託後に受け取った年金ですが、後から信託財産に追加できます。
追加信託をするには、あらかじめ家族信託契約に追加を想定した定めをおく必要があります。
年金は受け取り後は単なる金銭であり「年金受給権」そのものと異なります。「信託口口座」への入金が可能です。
ただし、委託者が認知症になり判断能力が失われると、口座に入金された年金を委託者が自由に移動させることができなくなります。
3、認知症になった後は
認知症になった後も年金は振り込まれますが、委託者の自由に使うことができません。
その年金を有効に活用する方法として以下のものがあります。
(1)固定費専用の引き落とし資金として活用する
公共料金等の固定的な費用の指定口座を年金のそれと同じにしておきます。
認知症で口座が凍結された場合でも「自動引き落とし」については、原則として継続されることが多いです。
(2)年金が支給されたら銀行の「自動送金サービス」を利用して信託口口座へ資金移動する
信託口口座は年金の振込先には指定できませんが、単なる口座間の振込であれば、振込先へ指定するのは可能です。
追加信託をするには、あらかじめ家族信託契約に追加を想定した定めをおく必要があるのは、認知症前と同じです。
ただし、金融機関によっては「自動送金サービス」に有効期間(例:5年)が設けられているため、注意が必要です。
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投稿者プロフィール

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◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
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