障害者のためにお金を残す方法
1、障害者名義の口座が凍結させられる
◎事例その1:
良かれと思って障害のある子供の口座にお金を貯めてました。家のリフォームのために、600万円を引き出そうと思ったのですが、銀行から「成年後見人をつけないと引き出せません」と言われてしまいました。
◎事例その2:
子供の障害年金には手を付けないまま、親が子供の生活にかかるお金を支払っていました。
現在1000万円ほどになっていますが、お金を引き出すことが必要になったので銀行に行きましたが「成年後見人をつけてから手続きしてください」と言われてしまいました。
キャッシュカードと暗証番号によって、子供の口座からお金が引き出すのは、親が子供のために、ですから、何の問題もないでしょう。
しかし、意思能力の無い成人の銀行口座からお金を引き出すことができるのは成年後見人などだけです。
何らかの形で銀行が子供が意思能力のない障害者であると知った場合、口座を凍結します。
なので、銀行が「成年後見人をつけてから」と応対するのは、厳密にいうと間違ったことではありません。
2、障害者のためにお金を残す方法
(1)特定贈与信託
「特定贈与信託」とは、障害を持った人が不自由なく、安定した生活を送れるように、本人の親族等が本人の財産の管理、運用を信託銀行などに任せる方法です。
委託者:障害者を持った子供の親族等
受託者:信託銀行等
受益者:障害を持った子供
①委託者である本人の親族等が、信託銀行等(受託者)に財産を信託
②受託者が管理、運用する財産は、受益者が不自由なく、安定した生活を送るための生活費、医療費等として定期的に交付。
それ以外の用途では使用できない
③信託財産から得られる利益は、障害を持った子供(受益者)が受け取れます
(2)家族信託
㋐委託者:父親
㋑受託者:妻
㋒第二受託者:子供
㋓受益者:父親、障害のある子供(扶養義務の範囲内の時期)
㋔第二受益者:障害のある子供
㋕信託財産:預金等(両親が障害のある子供のためにせっせと貯めたもの)
◎この方法のメリット
将来、父親が亡くなれば、相続人は妻、子供(A)、障害のある子供。障害のある子供は法定相続分なら1/4、最低でも遺留分(1/8)は相続可能です。
いずれにしても㋕の額は増えますが、妻も亡くなってれば、第二受託者としてAが管理しているので、たとえ、この時期に法定後見人を付けることになったとしても、法定後見人の出番はない。
しかも、信託期間中に適切な財産管理を行ってれば、かなりの確率で希望通りの者(家族、信頼できる専門家等)が法定後見人に就任する可能性が高い。
仮に、Aが管理するのが困難な事情が発生したら、家族信託を終了させ、法定後見人に障害のある子供の財産の管理を任せればよい。
(3)遺言書を残す
父親がいない。兄弟は兄と弟。兄が重度の障害者。
母親が「全財産を弟に譲る」旨の遺言書を作成します。
確かに兄には遺留分があります。
仮に兄に成年後見人が付いてれば遺留分を主張してくるでしょう。
しかし、成年後見人が付いていなければ、兄は重度の知的障害者なので遺留分を主張してきません。権利を主張しなければ遺留分は発生しないのです。
これで弟は兄のためにお金を使うことができますし、兄の施設入所の費用に充てるため、実家も売却できます。
施設契約ですが、月に1回程度訪問可能なら、弟が兄の名前で契約するのが可能な施設もあります。無理なら成年後見人を選任してもらうしかありません。
そして、弟が亡くなれば弟の妻が相続人。その後弟の妻が亡くなっても、妻に兄弟や甥姪などがいれば、財産を引き継ぐことができます。
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投稿者プロフィール

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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
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