熟年再婚の注意点

◎事例

家族構成は父親と長男、長女。母親は既に死亡

(1)再婚しない場合

父親が死亡した際の相続人は長男、長女。

法定相続分は各1/2

(2)再婚した場合

父親が死亡した際の相続人は後妻、長男、長女。

法定相続分は後妻1/2、長男、長女各1/4。

(3)再婚。後妻には子供が2名いて、父親と養子縁組した場合

父親が死亡した際の相続人は後妻、後妻の子供2名。

長男、長女。法定相続分は後妻1/2、後妻の子供2名、長男、長女各1/8。

(1)子供の法定相続分が減ってしまう

熟年再婚の場合、子供達が十分成熟しているケースが多く、期間も短いので、突然の法定相続分の減少に不満を持つのは当然の事。

(2)遺産分割協議がまとまらない

父親が遺言書を残さないで死亡すると相続人全員による遺産分割協議となりますが、仲が悪い、疎遠でもおかしくない後妻、後妻の子供達とでは、中々協議がまとまらないリスクがあります。

また、相続税の申告期限は「相続が開始を知った日の翌日から10か月以内」ですが、それまでに遺産分割協議をまとめないと、

①配偶者控除:

「1億6000万円」もしくは「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額までであれば相続税がかからない

②小規模宅地特例の特例

亡くなった人が自宅として使っていた土地を、配偶者か、亡くなった方と同居していた親族が相続した場合、土地の評価額を8割引きにしますよ、という特例

が使えなくなります。

(3)後妻の子供が実家を相続することも父親死亡。後妻が実家を相続した場合、後妻と養子縁組をしていないと、後妻が死亡しても相続人ではないため、実家を後妻の子供達が相続することになります。

つまり、自分達が生まれ育った実家が、いつの間にか取られてしまいます。

(1)遺言書を書いてもらう

遺言書を残せば、遺産分割協議は不要となります。

それも、公正証書遺言のほうが、公証人の下で作成する点で法的な証明力が高く、偽造、改ざんのリスクがないので有用です。

さらに公正証書遺言にて遺言執行者を指定しておいたほうが、相続手続きをスムーズに進めることができます。

(2)再婚相手に遺留分を放棄してもらう

家庭裁判所の許可があれば、生前遺留分を放棄することが可能です。

再婚の際、再婚相手との話し合いでまとまれば、言う事ないです。

※参考:「裁判所HP「遺留分放棄の許可

(3)生命保険に加入

受取人が特定されている生命保険金は固有の財産で遺産分割協議の対象外です。

再婚の時点で実子を保険金の受取人に指定した生命保険に加入してもらえば、相続の際の調整に役立ちます。

(4)後妻の子供と養子縁組しない

養子縁組すると、父親死亡の際、後妻の子供も相続人になってしまいます。

特に後妻の子供が成人、独立している場合、先妻の子供に対する配慮の意味で、養子縁組しない方が、相続の際のトラブル防止となります。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
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