家族サポート証券口座
1、家族サポート証券口座
認知症の症状が進行すると、本人の判断能力が低下するため、銀行口座と同様、
証券口座も凍結され、株式や投資信託の購入、売却ができなくなります。
その対応策として、今年2月日本証券業協会は新たに「家族サポート証券口座」を創設しました。
「家族サポート証券口座」では、その名の通り、家族が「代理人」として証券取引をサポートします。
(1)代理人になれる者:
配偶者、子供、孫
(2)手続き
①本人と家族代理人とで、予め管理・運用方針を決め、公正証書による委任契約を締結
↓
②証券会社に申込。証券会社が取引内容が運用方針に沿っているかを確認。
↓
③本人が元気なうちは本人が取引。
本人の判断能力が衰え、取引が難しくなったら、家族代理人。取引開始を証券会社に届け出。
↓
④本人が生きている間は、家族代理人が代わりに取引を続けることができる。
これにより、例えば、介護施設の入居費用や治療費など、まとまった資金が必要な時に株式や投資信託などを売却。現金を準備することが可能となります。
2、家族信託、予約型代理人サービスとの違い
(1)家族信託との違い
家族信託の場合、証券会社が信託口口座に対応している必要があり、対応できなければ、本人が元気な内に売却して現金化するしかありません。
これに対し、「家族サポート証券口座」の場合、「信託口口座」の開設自体が不要です。
(2)予約型代理人サービスとの違い
予約型代理人サービスは、売却・解約は可能ですが、買い付けも含む運用まではできません。
家族サポート証券口座 | 予約型代理人制度 | 家族信託 | |
事前手続き | 証券会社に代理人を届出 | 証券会社に代理人を届出 | 信託口口座を開設。託する財産を移す |
公正証書 | 必要 | 不要 | 必要 |
売却、現金化 | 可能 | 可能 | 可能 |
買い付け | 可能 | 不可能 | 可能 |
3、家族信託、予約代理人サービスとの連動
「家族サポート証券口座」を利用すれば、認知症による証券口座の凍結を防ぐことができます。
しかし、売却、現金化後の出金先の口座が凍結されてれば、本人のためにお金を使うことができません。
そこで、出金先の口座については、家族信託、予約代理人サービスにより凍結をン防止します。
予約代理人サービスは「家族サポート証券口座」と同様、本人が銀行に代理人を届ければ、本人が判断能力を失った後、代理人が本人の銀行口座から引き出しや振り込みができる制度です。
家族信託でも、信託財産を「銀行口座」にしておけば、本人が判断能力を失った後、予め託した受託者が口座を管理。引き出し、振り込みができます。
4、まとめ
一番重要なのは「元気な内に準備すること」。
認知症を発症。判断能力が低下してからでは、上の対策を講じることはできません。遅いです。
認知症対策についてお悩みの方は是非専門家にご相談を。
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認知症を発症し、本人の判断能力が低下していると金融機関が把握すると、 資産が凍結されます。
預金を引き出せなくなったり、自宅を売却できなくなったりします。
そこで、「認知症による資産凍結」を防ぐ目的で、親が自分の財産の管理・処分などを、信頼できる家族(子など)に託す仕組みが「家族信託」です。
山梨県、甲府市で高齢の親の生前の財産管理にお悩みの方。是非専門家にご相談を。
投稿者プロフィール

- 行政書士
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◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
体の不自由なお年寄りが安心して生活出来る社会を作りたい、
困っている方の力になりたい。
皆で応援し、安心して暮らせる社会を作りたい。
そんな願いを胸に日々仕事に従事しています。
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