区分所有法改正による賃貸経営オーナーへの影響
1、マンションの「2つの老い」
マンションの「2つの老い」とは、以下の2つのことをいいます。
(1)建物の老朽化
特に築40年を超えるマンションでは、設備の劣化、修繕の必要性が高まっています。
(2)住民の高齢化
特に築40年を超えるマンションでは、世帯主が70歳以上の世帯が半数以上を忌めているのが現状です。
このような「2つの老い」を放置し続けると
①理事のなり手がいない
②集会を開いたとしても意見がまとまらない
などの問題が発生します。
2、改正区分所有法:決議要件の緩和
◎従来:
マンションの管理に無関心な人、所在不明な人も含めた全区分所有者を分母にして多数決を実施
↓
◎改正:
集会に出席した人の議決権の多数決で決められるようになりました。
ここで「出席した人」とは
①総会の会場に来た人
②書面による議決権行使をした人
③代理人を通じて議決権行使をした人
④委任状を提出した人
のことをいいます。
つまり、何らかの形で意思表示をした区分所有者です。
改正の結果、マンションの管理に無関心な人は分母に含まれません。
また、所在不明な人も裁判所が認定した「所在等不明な区分所有者」に該当すれば分母に含まれないことになりました。
「所在等不明な区分所有者」とは、必要な調査を尽くしても、氏名、所在が不明な区分所有者のことをいいます。
3、改正区分所有法:共用部分の変更決議
共用部分の変更決議ですが、権利侵害のおそれがある場合やバリアフリー化のための工事では、賛成割合が従来の3/4から2/3へ緩和されました。
また、管理不全に陥った専有部分、共用部分に対し、裁判所が管理人を選任できる制度も新設されました。
4、改正区分所有法:建て替え以外の選択
㋐従来:原則として立て替え
㋑改正:原則4/5の多数決で4つの選択欄ができました。
①建物と敷地をまとめて売却
②建物全体を一括リノベーション
③建物を取り壊して敷地を売却
④建物を取り壊すのみ
5、区分所有法改正による賃貸経営オーナーへの影響
(1)プラスの影響
決議要件の緩和により、これまで「何も決められなかった」老朽マンションでも、大規模修繕やバリアフリー化工事の実現性が高まることで、マンション全体の資産価値維持に繋がることが期待できます。
より身近な問題であるエレベーターの更新、宅配ボックスの増設など、入居者のニーズに応じた設備投資も実現しやすくなるでしょう。
また、「所在不明所有者の除外制度」により、これまで空室所有者の無関心により停滞していた議案が前進する可能性がでてきます。
マンションの適切な管理体制が構築されれば、物件の競争力向上と賃料維持につながります。
(2)マイナスの影響
他方、マイナスの影響もあります。
建て替え、一括売却の決議要件が緩和されたことにより、たとえ自分自身が反対でも多数決により建て替えや売却が決定されるリスクが高まります。
特に収益性の高い賃貸中の部屋を保有している場合、転居費用や新規購入資金の負担が発生する可能性が高くなります。
また、大規模修繕の決議が通りやすくなれば、修繕積立金の増額などに結び付きます。
さらに出席者ベースの決議となるため、総会を欠席すると自分自身の意向が反映されない重要事項が決定されるリスクが高まってきます。
故に、非居住賃貸経営オーナーでも、総会への積極参加が求められることになります。
~関連記事~
投稿者プロフィール

- 行政書士
-
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
体の不自由なお年寄りが安心して生活出来る社会を作りたい、
困っている方の力になりたい。
皆で応援し、安心して暮らせる社会を作りたい。
そんな願いを胸に日々仕事に従事しています。
当事務所への「お問い合わせ欄」は「こちら」
TEL:055‐215-2201
お気軽にご相談ください。
※電話が繋がらない場合、恐れ入りますが「お問い合わせ」にてお願いします。
最新の投稿
マンション2026年2月20日区分所有法改正による賃貸経営オーナーへの影響
Yahoo News他2026年2月19日日本の飲食店で店長を目指す──。「特定技能2号」でキャリアアップ目指すベトナム人青年:Yahoo NEWS
相続2026年2月18日遺産分割が禁止される場合
マンション2026年2月17日滞納回収のための管理組合による措置に係るフローチャート




