たった1人の意見でマンションの規約改正も可能

例えば、改正前の標準管理規約のままで、民泊を禁止していないとします。

規約を改正して民泊を禁止するには総会での特別決議。つまり

①組合員総数の3/4以上の出席

②議決権総数の3/4以上の賛成

が必要です。

標準管理規約コメントに以下の規定があります。

㋐住戸の価値に大きな差がある場合においては、単に共用部分の共有持分の割合によるのではなく、

㋑専有部分の階数(眺望、日照等)、方角(日照等)等を考慮した価値の違いに基づく価値割合を基礎として、議決権の割合を定めることも考えられる。

㋒この価値割合とは、専有部分の大きさ及び立地(階数・方角等)等を考慮した効用の違いに基づく議決権割合を設定するものであり、住戸内の内装や備付けの設備等住戸内の豪華さ等も加味したものではないことに留意する。

㋓また、この価値は、必ずしも各戸の実際の販売価格に比例するものではなく、全戸の販売価格が決まっていなくても、各戸の階数・方角(眺望、日照等)などにより、別途基準となる価値を設定し、その価値を基にした議決権割合を新築当初に設定することが想定される

(第46条関係③)

つまり、必ずしも「一戸一票」ではなく、1億円の価値のある住戸に「10票」を与えることも可能です。

1億円の価値のある住戸に「10票」を与えることも可能だとすると、例えば、特にタワマンのように、上層階の価格が下層階の価格に比べて何倍もする場合、外国人投資家が新築マンションの上層階の高額な部屋をまとめて購入。議決権の3/4以上を持つことも有り得ます。

そうなると、たった1人の意見で「民泊禁止」の規約を「民泊使用可」に変更できることになります。

価値割合を基礎として、議決権の割合を定める。

一見公平に見えますが、背後にはこういう怖さもあることは認識しておいた方がよいですね。

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マンションの管理規約での民泊の可否規定

「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」(標準管理規約第12条)

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