宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
1、宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
◎参考:国土交通省HP
不動産取引にあたって、取引の対象不動産において過去に生じた人の死に関する事案について、宅地建物取引業者による適切な調査や告知に係る判断基準がなく、取引現場の判断が難しいことで、円滑な流通や、安心できる取引が阻害されているとの指摘があります。
国土交通省では、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき義務の解釈について、令和2年2月より「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」において検討を進め、同検討会での議論や、本年5月から6月に実施したパブリックコメントを踏まえ、標記ガイドラインをとりまとめました。
2、ガイドラインの概要
①宅地建物取引業者が媒介を行う場合、売主・貸主に対し、過去に生じた人の死について、告知書等に記載を求めることで、通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとする。
②取引の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)については、原則として告げなくてもよい。
③賃貸借取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死以外の死が発生し、事案発生から概ね3年が経過した後は、原則として告げなくてもよい。
④人の死の発生から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等は告げる必要がある。
同じ部屋の中で亡くなった、でも自然死と自殺のような自然死ではないもの、とでは明らかに対応が違う。
これまで裁判例はありましたが、法律の規定はありませんでした。
裁判例にもある通り、宅地建物取引業者に要求されている「重要事項説明義務」の一環として(3年が経過するまでかどうかは別として)「自然死ではないこと」を伝えなければならない義務はあるでしょうし、その間の「空室のリスク」は賃借人の相続人が負うのが妥当でしょう。
「ガイドライン」を設けたことにより、宅地建物取引業者の義務の範囲が明らかになりましたし、今後の裁判例もこれに沿ったものになるでしょう。
孤独死保険は
㋐家主さんが入る型
㋑賃借人が入る型
がありますが、年間で数千円程度なので、賃借人が高齢者の場合、加入を条件にしても不当とまでは言えないでしょう。
「見守り契約」加入を義務付ける等、他にも孤独死で最悪の結果になる事を防ぐ方法があるので、くれぐれも高齢者に対する「貸し渋り」に繋がらないようにしてほしいですね。
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