ベトナム人が死亡した際の相続手続き
1、ベトナム人が死亡した際の相続手続き
「法の適用に関する通則法」には、「相続は、被相続人の本国法による」と明記されており、相続に関しては亡くなった人の国籍を持つ国の法律が適用されます。
なので、日本で亡くなった在日ベトナム人の相続手続きは、ベトナムの法律に基づいて行われることになります。
ベトナム法ですが「相続は、相続される被相続人が死亡の直前に国籍を有していた国の法令に従って確定される」と規定されています。
また、不動産に関する相続について「不動産が所在する地の国の法令に従って確定される」とされています。
したがって、
①日本国内で死亡したベトナム人の相続についてはベトナム法が適用される
②日本国内に不動産を所有していた場合、当該不動産の相続については、その不動産の所在地の法律(日本法)に従う
ことになります。
2、法定相続人と相続の割合
◎法定相続人
㋐第1順位:配偶者、実父母、養父母、実子、養子
㋑第2相続順位:祖父母、兄弟姉妹、実孫
㋒第3相続順位:曾祖父母、伯父母、叔父母、甥、姪、曾孫
◎相続の割合
ベトナム民法で「同じ相続順位にある複数の相続人は、相互に均等の遺産部分を享受する」と規定してます。
つまり、法定相続人が配偶者と実子の場合、相続割合は1:1となります。
※参考:「在ベトナム日本大使館HP」
3、法定相続人の調査
以前は戸籍制度が存在し、戸籍謄本を取得することによって相続関係を明らかにすることができましたが、2023年度から、ベトナム国民は、事前にチップ付き人民証明書を申請・取得。国が電子データを介して市民を管理しています。
なので、ベトナム人が死亡したら、
(1)ベトナム国内の人民委員会から、人民証明書を基にした「死亡証明書」の写しを入手。
↓
(2)ベトナムはハーグ条約に加盟していないため、外務省に提出する前に在日ベトナム領事館で領事認証してもらう。
↓
(3)領事認証された文書を日本の外務省で公印確認を受ける。
↓
(4)領事認証、公印確認された「死亡証明書」とその日本語翻訳文を日本の提出先(法務局、金融機関など)に提出
4、外国人登録原票(閉鎖外国人登録原票)
「外国人登録原票」とは、外国人登録制度に基づき作成された書類のことをいいます。
2012年(平成24年)7月9日、「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律」が施行。これに伴い、外国人登録法が廃止されました。
そのため、
㋐平成24年より前に日本に移住した方は、日本移住時~平成24年までの日本で生活していた期間については戸籍の代わりになる書類として「外国人登録原票」を使用することができます。
㋑これに対し、平成24年以降~死亡までの期間については、戸籍の代わりになる書類は存在しないことになります。
出生~1952年。平成24年~亡くなるまでの相続関係を証明できない場合、相続人全員が、自分が亡くなった方の相続人に相違ないことを日本の公証役場で宣誓、署名押印します。これを「宣誓供述書」といいます。
さらに、相続人は全員であることを「上申書」として「宣誓供述書」とともに、法務局や銀行などでの相続手続きの際、提出します。
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投稿者プロフィール

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山梨県甲府市の行政書士です。
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