「身元保証」と「医療同意」
1、身元保証人
「身元保証」とは、文字通り「身元を保証すること」をいいます。
昨今、病院や老人ホームでは、入院時、入居時に身元保証人(身元引取人)を必要条件としています。
多くは利用者の家族がその役割を担っています。
しかし、未婚率の増加、一人暮らしをしている高齢者の増加に伴い、家族や親族に頼ることができない方は、少なくありません 。
そのため、保証人がいない高齢者が増えており、家族以外の方、専門家などを「身元保証人」にお願いするケースが出てきてます。
2、医療同意
手術などの医療行為を実施する場合は、必ず患者本人から同意を得なければなりませんが、意識不明や昏睡状態など、患者が自らの意思を伝えることができない場合もあります。
その際、代わりに治療方針や緊急手術の承諾を行うことができる権利を「医療同意」といいます。
「医療同意」は通常、配偶者や直系血族(両親、子供など)にあります。
しかし、「身元保証人」を必要とされる方は、家族がいない、もしくは遠方にいる方がほとんどです。
身元保証人は「家族代行サービス」を行う立場ですが、第三者であることは変わらないので、「医療同意」について勝手に判断できる立場ではありません。
そうはいっても、現実の問題、身元保証人が「医療同意」が必要な時に立ち会うケースは多々あります。
3、「医療同意権」を委任する「委任契約書」の作成
一つの方法として「身元保証人に「医療同意権」を委任する「委任契約書」を公正証書で作成する」、があります。
委任内容として
「医療行為を受ける際に自身の意思を表明できない場合、身元保証人〇〇がその医療行為に関する同意権を行使することを委任する」
などと明記します。
そして、実際に「医療行為」に同意する場面で、医師に委任契約書を提示すれば、同意権を認めてもらいやすくなります。遠方に住んでいる家族については、疎遠でないなら、事前に委任契約書の存在を連絡しておけば、余計なトラブルの発生を防ぐことができます。
4、尊厳死宣言公正証書
「尊厳死」とは、一般的に「回復の見込みのない末期状態の患者に対して、生命維持治療を差し控え、または中止し、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせることをいう。」と解されています。
延命治療の場合も本人の明確な意思が必要ですが、同じく意識不明や昏睡状態など、患者が自らの意思を伝えることができない場合もあります。
そんな時のために、延命措置を差し控え、または中止する旨等の宣言をし、公証人がこれを聴取する事実実験をしてその結果を公正証書にしておくこと(尊厳死宣言公正証書)も一つの方法です。
尊厳死宣言公正証書を作成した場合でも、医療の現場では必ずそれに従わなければならない法律等の規定はありませんが、多くの場合「活かされた」の統計もあります。
宣言書を信頼出来る「身元保証人」に渡しておき、イザというときに医師に提示してもらえるようにしておくと安心です。
「日本公証人連合会HP」より
5、事前指示書
「事前指示書」とは、ある患者や健常な人が、将来自らが判断能力を失った際、自分に行われる医療行為に対する意向を、前もって意思表示するための文書のことをいいます。
具体的には
①延命のための人工呼吸器の使用の可否
②心臓マッサージ等、心肺蘇生の可否
③胃ろう増設による栄養補給の可否
④鼻チューブ(経鼻からカテーテルを挿入し経管栄養材を投与する)からの栄養補給の可否
⑤点滴による水分補給の可否
などをいいます。
自分のして欲しい事、して欲しくない事を箇条書きで記載。信用できる医師、身元保証人に渡しておけば、死の直前に意識不明の状態になったとしても、自身の「願い」を叶えることが可能になるでしょう。
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