これまでは、相続財産に不要な土地があってもその土地だけを放棄することができず、不要な土地を含め全て相続するか、他の資産も含め全て相続放棄をするかしかありませんでした。


昨今、土地利用のニーズが低下し、土地を相続したものの土地を手放したいと考えるかたが増加する傾向にあります。

これらが、相続の際に登記がされないまま土地が放置される「所有者不明土地」が発生する要因の一つと言われています。


そこで、所有者不明土地の発生を予防するための方策として、相続登記の義務化等とあわせて、相続した土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度が創設されることになりました。

詳細は法務省HPまたは政府広報オンライン

(1)審査手数料

1筆あたり14000円となります。

(2)10年分の管理費に相当する負担金

地目などにより個別に算出されます。

①宅地:原則面積にかかわらず20万円

②田、畑:面積にかかわらず20万円

③森林:面積に応じ算定。面積の単純比例ではなく、面積が多くなるにつれ、1m²あたりの負担金額は低くなります。

以下に該当する当てはまる土地は、国に引き取ってもらえません。

①建物がある土地

②抵当権や借地権、地役権、通行権など、他人の権利が付帯している土地

③土壌汚染のある土地

④境界が確定していない土地

⑤崖地

⑥樹木や地下埋葬物(有体物)がある土地

⑦他人と係争中の土地

⑧その他管理に費用や労力がかかる土地

逆に書くと

㋐更地であること

㋑他人の権利が付いていないこと

㋒他人と争いのないこと

なら、国に引き取ってもらう可能性が高まります。

(1)法務局へ相談に行く

用意するもの

①相続土地国庫帰属相談表(様式は法務省HP

②相続したい土地の状況についてのチェックシート(様式は法務省HP

③土地の状況等が分かる資料(登記事項証明書等)や写真

④法務局で取得した地図又は公図の写し

⑤法務局で取得した地積測量図

⑥土地の測量図面

⑦土地の現況、全体が分かる画像又は写真

(2)申請書類を作成、収集

◎作成する書類

①承認申請書

②承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面

③承認申請に係る土地及び該当土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真

④承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真

◎用意する書類

①申請者の印鑑証明書

②固定資産税評価額証明書(任意)

③承認申請土地の境界等に関する資料(あるなら)

④申請土地に辿り着くことが難しい場合は現地案内図(任意)

⑤その他相談時に提出を求められた資料

(3)法務局に申請

(4)承認結果を確認

法務局で提出された書面を審査、申請された土地に出向いて実地調査を行います。

その実地調査の結果、承認か、不承認かの通知が届きます。

(5)負担金を納付

承認されていたら​負担金を日本銀行へ納付​。

申請者が負担金を納付した時点で、土地の所有権が国に移転します。

「相続土地国庫帰属制度」の書類作成代行は、弁護士、司法書士、行政書士が可能です。

なお、代理申請は認められてません。

ご本人が法務局へ申請する必要があります。

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「相続土地国庫帰属制度」の書類作成代行は、弁護士、司法書士、行政書士が可能です。

土地を放置することによる負担が気になっている方、是非ご相談を。

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